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誰もがお世話になっている?!あらゆる設備の制御盤のプロ「扶桑エンジニアリング」

加子 瑞騎 加子 瑞騎
418 views 2019.08.29
加子 瑞騎 加子 瑞騎 東北大学
学校や職場で一度は見たことのある、蓋のついた「制御盤」。何のためにあるのか、誰が作ったのか、気になりませんか?その制御盤を作っている「株式会社 扶桑エンジニアリング」のお話を聞いてきました。

扶桑エンジニアリングってこんな会社

仙台市太白区の静かな住宅地の中にある、扶桑エンジニアリング。

制御盤の製作から取り付けまで、一貫して行う会社です。(下の写真は制御盤のイメージ)

制御盤とは、機械設備を動かすために必要なもので、センサで設備の状態を感知し、設備を安全かつ目的通りに動かすためのものです。身近なところでは、水道局の制御盤を作っていて、各家庭へ配水する際の水量などの制御に使用されています。制御盤があるおかげで、安定して水が使えるんですね。

創業者で社長の、大友悌(やすし)さんにお話を聞きました。

創業から今日にいたるには、長い道のりがあったと言います。

大友さんは初め、電子部品の会社に就職しましたが、会社の移転を機に、地元・仙台の食品会社に転職。食品工場で、機械が安全に動いているかを確認する計装業務や、測定機器の取り付け、設備の制御を担当し、知識や技術を身に着けました。

その後、友人に誘われて2人で会社を立ち上げましたが、バブルの崩壊により2年ほどで仕事は無くなってしまいました。そこで会社を辞め、1人で計装の仕事を始めました。最初は知り合いから仕事を回してもらっていましたが、やがて実績が認められ、仕事の数は増えていきました。現在は、従業員10人の会社です。


▲黄色のケーブルが出ている箱は、ずいぶん年季が入っていますが、制御盤の検査をするときに電源として使います。創業初期の物で、いまだに手放せないそうです。

本棚には、会社の成長と共に増えていった、数学や電気、プログラミングなど、幅広い分野の本が並んでいます。創業時と現在では、扱う技術が変わってきているため、プログラミングを身に着けようとした際は苦労したそうです。

全部を読んだのか気になって尋ねると「本は読むものではなく、使うもの」と大友さん。


▲作業場の様子です。棚には制御盤を作るときの部品がズラリ。


▲ケーブルだけでも、こんなに種類があります。


▲昔使われていた制御盤。今は、研修に使っています。

仙台の企業魅力

分野にとらわれない技術力

扶桑エンジニアリングでは、〇〇部門のように専門分野が分かれていません。では、専門的な知識や技術が必要ないかというと、そうではありません。

製作から取り付けまで一貫して行うため、プログラミングや電気回路、扱う機械設備についての知識、さらにはコンクリート基礎、ショベルカーの運転まで作業は多岐にわたります。

必要な知識・技術は膨大です。それらを時間をかけて、社員一人ひとりが習得しています。そのため、部門を分ける必要が無く、1人ですべての作業を行えるようになるのです。


▲各資格試験の日程表が貼り出されていました。

人を大事にする経営

仕事をするうえで大切にしていることを聞くと、「社員と一体になること」と大友さん。社員はともに働くパートナーであり、コミュニケーションをとることを大切にしていると言います。


▲社内の様子。

仕事柄、顧客の工場が稼働していない土日にメンテナンスなどの業務が入ることも多いのですが、出勤を交代制にしたり、外注して出勤する人を減したりと工夫することで、一人ひとりの負担を減らすようにしています。また、定期的に勉強会を行い、技術とチームワークの向上を図っています。

今後の展望

今の作業場が手狭になってきたので、場所を見つけしだい、第2工場を建てたいと考えていると言います。

人手不足なので、受注量は調整しているそうです。人手不足を解消するために、会社の採用ページには熱がこもっています。文章は大友さんが書いたもので、このページを見れば会社のことがわかるようになっています。(採用ページ http://www.fusouengi.co.jp/page8

大友さんは72歳(取材当時)。見た目からは想像がつきません。
いずれは息子さんに跡を継いでもらい、引退を考えているそうです。「引退したら何をするつもりか」を質問すると、笑いながら「技術指導くらいなら、タダでやってもいい」と答えてくれた大友さん。仕事への愛着が伝わってきました。

「制御盤を作るのだから、回路を組む仕事なのだろう」と想像して取材に行きました。しかし、今ではソフトウェアで制御し、プログラミングを行っていることがわかりました。回路を組むこともありますが、以前よりは少なくなったと言います。同じ目的でも、技術の進歩とともに、手段は変化していることを実感しました。“AIに仕事が奪われる”と叫ばれる今、新しい技術を身に着けていく扶桑エンジニアリングの働き方は、それを乗り越えるヒントになるのではないでしょうか。

加子 瑞騎加子 瑞騎東北大学
文章:加子 瑞騎(東北大学3年)
写真:藤原 佳那(東北学院大学4年)
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この記事を書いた人

加子 瑞騎
加子 瑞騎
出身は愛知です。一人暮らしを機に、料理を頑張っています。せっかく仙台まで来たので、この土地のグルメ、また取材を通して中小企業に詳しくなります!