テラス

「幸せなキャリアってなんだろう」柴田北斗さん【いぐするテラス】

稲葉 史恵 稲葉 史恵
624 views 2019.02.07
12月30日に開催された、2018年最後の「いぐするテラス」。
ゲストは、ヒトラボTOHOKUの柴田北斗さん(27)です。現在、宮城県丸森町の地域おこし協力隊として活動されています。

「幸せなキャリアってなんだろう~自分で選んだ東北でのキャリア~」と題して、参加した大学生6人と社会人1人と一緒に、“キャリア”や“幸せ”について深めました。

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踊り狂った学生時代、怒られまくった新人時代

柴田さんは、仙台市生まれの名取市育ち。仙台第一高校を卒業後、東北大学教育学部に進学しました。社交ダンス部に入り、練習に明け暮れ、学生時代は「踊り狂っていた」といいます。

人の成長に関わりたいと、進路は教員を志望。卒論のテーマは「高校の男女共学化」と、教職まっしぐら…と思いきや、進路選択で悩み…まずは社会経験をと、すぐには教職を目指さず、大手人材会社に入社し東京で働き始めました。

新社会人となって約半年間は、上手くいかないことが多く「怒られまくっていた」という柴田さん。怒られている最中にフリスクを食べた(!) 伝説も持っているとか…プライドもあって、なかなか他人の忠告に耳を傾けることができませんでしたが、1人の先輩が親身になって話してくれたことをきっかけに、仕事への向き合い方を変えることができました。

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人生の転機はアリストテレス!?

人材紹介の仕事に熱心に取り組んでいた柴田さんに、新たな壁が立ちはだかりました。クライアントに繋いだ人材が出社してこないといったトラブルが発生することがあり、だんだんと人間不信に陥っていったといいます。

常時120~130人の人材を担当し、毎日たくさんの人と話して、休日は引きこもる生活。合間にキャリアコンサルタントの勉強もしていましたが、悶々とした気持ちは募っていきました。

そんな中で出会ったのが、古代ギリシアの哲学者、アリストテレスの言葉でした。
幸福こそは我々の行うところのあらゆる事柄の目的であると見られる(ニコマコス倫理学より)
「その人が“幸せだ”と思う方向に生きていると腑に落ちた」という柴田さん。これが転機となって、他人のさまざまな行動を尊重できるようになりました。

東北愛から、転職へ

社会人になって約4年、東京での生活に慣れた頃に、柴田さんは東北に戻る決断をしました。ご飯が美味しくない、イカが消しゴムみたい(笑)、満員電車にびっくり…と、実は上京して3日目には「東北に戻りたい」と思ったそう。「東京に出たことで、東北への愛が深まった」。

“ずっと生きていく場所ではない”と思いながら東京で働いていた柴田さんに、東北で「チャレンジしてみないか?」と声がかかりました。教職への想いはずっと抱えていましたが、「学校じゃなくても人の成長や教育には関われる」と考えて、転職を決意。2018年1月から丸森町の地域起こし協力隊に着任し、現在に至ります。

出身地ではない丸森町を選んだのは、活動の自由度が高かったことと、大学4年で取り組んだインターンシップの上司が関わっていたこと、町の本気度が高かったことが理由だといいます。

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キャリアって?幸せって?

柴田さんは、参加者の学生に「キャリアと聞いて何をイメージしますか?」と問いかけました。出てきたのは、生き方・人生・仕事・経験・職歴・スキル・なりたい姿・理想像など。中には、エリートや考え・決断といった回答もありました。

柴田さんは、キャリアを“人生そのもの”だと考えているといいます。将来は起業を目指していて、2018年8月にはヒトラボTOHOKUを創設。一人ひとりの“ありたい姿”の実現を通じて人を幸せにするために、キャリアを図示するサービスなどの開発に取り組んでいます。

最後に、参加者それぞれが「幸せを感じるとき」について考えました。おいしいものを食べたとき、プライベートや学業などのバランスがとれているとき、新しい発見をしたときなど、人によって幸せを感じることは本当にさまざま。自分にとっての“幸せ”とは何かを考えることで、ありたい姿を見直すきっかけになり、その実現に必要なキャリアの選択も違ってくるのではないかと感じました。

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取材協力:ヒトラボTOHOKU
文章・写真:稲葉 史恵(ワカツク)

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