テラス

「“やりたいことがわからない”の社会学」西田卓司さん【いぐするテラス】

稲葉 史恵 稲葉 史恵
147 views 2018.10.04
いぐするテラス西田さん_eye

8月29日のいぐするテラスのゲストは、NPO法人ツルハシブックス代表理事の西田卓司さんです。西田さんは元本屋店主で、現在は小さな車で旅をしながら本を販売し、各地で本をツールとした場と関係性づくりを行っています。

8月29日いぐテラ1

会場には、当日限定の本屋が出現!西田さんが持って来られたさまざまなジャンルの本がきれいに並べられ、気に入る本があれば購入することもできます。

参加者は、進路を模索している大学生や、モヤモヤを抱えた若手社会人など。それぞれが悩みを抱えながら、西田さんの話に耳を傾けます。

「やりたいことがわからない」の社会学

8月29日いぐテラ3

西田さんは、1974年千葉県出身。新潟大学農学部を卒業し、出版社の地方書店営業などを経て、2011年3月に新潟市内で本屋「ツルハシブックス」をオープンしました。
新潟大学のすぐ近くにあったため、大学生がたくさん訪れていたといいます。話を聞くのが好きな西田さんは、大学生の声に耳を傾けているうちに、大学生の悩みが大きく分けて2つあることに気づきました。

西田さんが気づいた大学生の二大悩み「やりたいことがわからない」「自分に自信がない」

そこで、本屋の中で営業できる屋台を学生たちに提供し、大学やアルバイトとは違った“やりたいことを見つける場”や、“自信をつけるきっかけ”として生かしてもらいました。実際に、学生と近所の豆腐店・味噌店がコラボし、油揚げにねぎ味噌を詰めて販売するといった取り組みが実現しました。

また、病院の処方箋のように、お客さんの悩みを聞いて本を紹介しました。何が好きだったか、何をして遊んでいたか…といった過去の話を聞き、そこからきっかけを見つけて、未来に繋がるような本を処方。

いぐするテラスの参加者にも、「本の処方箋」を行いました。

8月29日いぐテラ4

「やりたいことや夢がほしい。確固たる意志があるので、やりたいことや夢があればそれに向かってがんばれる。無くてもいいとはわかっているけれど、それでもほしい」。

そんな参加者の意見に、「すごく良くわかる」とうなづいた西田さん。小さなプロジェクトを誰かとやってみるか、ひとりでやってみることが良いのではないかと応じました。

8月29日いぐテラ2

西田さん
「やりたいことがわからないという問題の一番の辛さは、アイデンティティと直結しているから。夢がなければ、あなたを特定することができないという風な社会背景がある」。
「大学や会社といった所属する組織で設定される目標やゴールは、心から望んでいるわけではないため合意できない状況がつらい。プロジェクトを立ち上げて、期間を決めて、その期間はこれを価値だとしようと同意した上で取り組むと、何かしらの価値を生み出すためにがんばろうと思えて、ちょっと精神的には良いのでは」。

こぼれ話

西田さんのお話の中で、「本屋の青空」という印象的な言葉がありました。ある本を買おうと思って本屋へ向かったのに、歩いている途中に当初の目的を忘れてしまって、気づいたら別な本を買っていた…という“余白”のことを指すそうです。本屋の醍醐味はまさにそこにあるといいます。

「ここに来ると何か起こる」という予測不可能性がエンターテインメントの本質だという西田さん。いぐするテラスが、そういった場になっていれば幸いです。

8月29日いぐテラ5
▲この素敵な看板は、参加者のひとりが描いてくれました!ありがとうございました!!

文章・写真:稲葉 史恵(ワカツク)

次回のいぐするテラスは?

10月31日開催!テーマは、「働くことが難しい人も輝く理想の村づくり」。
石巻市を中心に活躍する「愛さんさんビレッジ」の小尾勝吉さんをゲストに迎えて開催します。

愛さんさんビレッジは、東日本大震災をきっかけに誕生した、高齢福祉と障害福祉が一つ屋根の下に共存する「新しい福祉の形」を目指している組織。働くことが難しいとされてきた障がい者が成長して高齢者の支援を行っています。
障がい者、高齢者の利用者はもちろん、働いているスタッフも大家族として運営されていますが、今後は、それをもっと社会中に拡げていきたい!と考えている小尾さんと、その実現方法を一緒に考えてみませんか?

【日時】2018年10月31日(水) 18:30~20:30
【場所】仙台市青葉区北目町4-7 HSGビル4階
【対象】大学生・大学院生・専門学校生(学部・学年問わず)、若手社会人
【ゲスト】小尾 勝吉 氏 愛さんさんビレッジ株式会社 代表取締役
【参加費】無料
【詳細・お申込み】次のリンク先をご覧ください。http://igusuru.com/event/17491.html

next_action

この記事を書いた人

稲葉 史恵
稲葉 史恵
ワカツクコーディネーター
元TV局記者。文末で韻を踏むのがマイブーム