記者インターン

「熊谷農園」人の繋がり 未来を拓く

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69 views 2018.11.22
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2018年8月から9月にかけて、河北新報社と一般社団法人ワカツクが主催した、記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が執筆した記事を紹介します!

人の繋がり 未来を拓く

「ここはシイタケ作りに向いた土地なんだ」。仙台市泉区朴沢で「熊谷農園」を営む、熊谷幸夫さん(62)は力を込める。シイタケと米を中心に生産する農家だ。市街地から行くこと40分のこの場所には、美しい田畑が広がり、湿った土壌や泉ヶ岳から流入する澄んだ水に恵まれる。

熊谷さんと妻の幸江さん(54)の2人で、生産から加工、販売までの全てを手掛ける。市場には出さず、30年以上、直売にこだわり続けている。朗らかな人柄の幸江さんは、「美味しいと言われるのが楽しくて仕方ない」と言う。熊谷さんの原木栽培のシイタケは、菌床栽培では得られない旨味や香りが楽しめる。固定ファンも多く、売り場に並べて30分で売り切れるほどだ。食のプロにも選ばれるものを作り続け、仙台市内のホテルや料理店からも支持される。

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精力的に生産・販売に取り組んでいた最中の2011年3月11日、東日本大震災に見舞われた。東京電力福島第一原発事故の影響により、シイタケの放射線濃度は上昇し、一部出荷制限がかかった。風評被害にも苦しみ、売上は一時3割まで落ち込んだ。

先の見えない不安の中、懇意の取引先から「安全基準を満たしているなら、使いたい」と言われた。待っていてくれる人がいるという事実が、希望になった。

2013年3月、熊本の椎茸農家から、宮城の椎茸農家にシイタケのほだ木が5000本贈られた。「勇気が出た。気持ちに応えたいと思った」。
2015年、夫婦で熊本を訪れ、農家に直接会ってお礼を伝えた。同年には農園のロゴマークを作成して商品の認知度を高め、固定客を増やした。

「朴沢で農業をやっていけると証明したい」。それが原動力だ。熊本の他にも、品評会などのイベントで出会った全国の同業者に加え、飲食店など食に携わる人々とも広く交流する。困難を乗り越え再建していく上で、人との繋がりが、熊谷さん夫婦の背中を押した。「この地域のシイタケを守るため、多くの人から力をもらう」。自らの経験から導き出した、1つの答えだ。

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取材後記

熊谷農園さんと初めて電話でお話をした瞬間から、電話の向こうの忙しそうな気配とお二人の朗らかな人柄を感じ、取材に出向くことで“輝く人と対面できる”という喜びを、じわじわと実感し始めました。実際の取材は想像よりも遥かにワクワクする体験でした。まずバスを降りた時の、朴沢の空気の美味しさ。距離でいうと実家からほど近い場所なのですが、仙台市内にこんなにのどかな場所があったのかと驚きました。早く着きすぎてしまい、お家の前でウロウロしているF班の私たちに対して、幸江さんが声をかけて下さり取材が始まりました。緊張でカチコチになっていた私たちに、熊谷さんご夫妻は終始温かく接して下さり、本当に素敵な時間を過ごすことができました。
お二人のこれまでの凄まじい努力については記事の通りですが、素晴らしい方のパワーに直に触れられること、そしてそれを世の中に紹介出来ることは本当にやりがいのあることだと思います。将来について様々なことを考える大学3年の夏に、記者と駆けるインターンに参加できたことは、本当にかけがえのない経験になりました。この夏に触れた熱や学んだことを胸に、残りの学生生活も邁進して参りたいと思います。

取材協力

熊谷農園

文・写真

河北新報社インターンシップ18期F班 
東北大学3年 岸 香也子(2018年9月当時)

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この記事を書いた人

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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪