国際支援の経験を若者へ伝える シェアハウスオーナー
鈴木信さん 株式会社まるいち 取締役会長
仙台市内のシェアハウスのオーナー、鈴木信さん(55)は、「NPO法人宮城国際支援の会」の会長でもあります。これまでに、カンボジアやネパールで学校や病院の建設を支援するなど、さまざまな支援活動に取り組んできました。「国際支援×若者の育成=シェアハウス」という鈴木さんの想いを取材しました!
こだわりのシェアハウス
訪ねたのは、今年3月にオープンしたばかりの「コミュニティシェアハウスLibertyⅢ」。
中を案内していただくと、部屋によって壁紙やベッドが違うことを発見!「異空間を味わってほしい」という鈴木さんのチョイスだそうです。
鈴木さんが運営するシェアハウスはこれが3棟目で、すべて仙台市台原地区の互いに行き来できる距離にあります。鈴木さんが取締役会長を務めている「株式会社まるいち」は、家具や生活用品などを取り扱う会社で、事業の一環としてシェアハウスを運営しています。
偶然から始まった国際支援・シェアハウス
「学生時代は少林寺拳法ひと筋。国際支援には全く興味が無かった」という鈴木さん。大学卒業後、家業のまるいちを継ぐための勉強として、ホームセンターの運営会社に就職しました。
国際支援に興味を持ったのは、35歳でまるいちに転職してからのこと。地元の塩釜青年会議所で、海外支援部隊に出会ったことがきっかけでした。36歳でカンボジアに学校を建設し、その後もカンボジアへの支援を続けました。
しかし、青年会議所のアジア会議で、たまたま隣に座ったネパール人から現地の貧困問題について話を聞き、「本当に支援が必要なのはネパールだ」と、カンボジアよりも、はるかに遠いネパールへの支援を決意。多いときは、年間15回もネパールへ渡航したことがあるそう。学校建設や病院設立を支援するだけでなく、ネパール政府の公認の施設にすることで、将来に残り続けるような支援を行ってきました。
「問題を見つけては、解決しなきゃという脳の作りになっちゃってるんだよ」と、国際支援を続けてきた20年間を振り返る鈴木さん。その原点は、「人のために尽くし、自分を磨き、人を教えて、生涯を終える」という、少林寺拳法の教えにあると言います。
▲鈴木さんの支援活動が載った新聞記事
シェアハウスを始めたのは、3年前。自身の経験を若者に発信したいと、貸し事務所などでイベントやセミナーを開催していた鈴木さん。もっとアクティブに発信できる方法があるのではと試行錯誤していたとき、たまたま息子さんが住んでいたシェアハウスに泊まりに行ったことがきっかけでした。そこでの生活風景を見て衝撃を受けた鈴木さんは、東京のシェアハウスを20軒以上見て回り、独学でオープンさせました。
ネパールへの支援も、シェアハウスのオープンも、決め手は“偶然の出会い”から生まれたもの。たまたまの連鎖が、国際支援とシェアハウスを結ぶきっかけになりました。
グローバルな若者を増やしたい
シェアハウスでは、入居者からの要望に応じて様々なイベントを開催しています。その中の1つ「オーナーと座談会」では、国際支援の経験やシェアハウスオープンのノウハウなどを入居者に発信し、“学びの場”になっています。
「若者には、自分の生活にプラスして人のために何かできるようになってほしい。そのためには、身の回りの生活、衣食住、整理整頓をしっかりできるようにならなくては」と話す鈴木さん。「脚下照顧(きゃっかしょうこ)、履物を揃えるなど自分の足下や行いを見よという意味」を、一緒に生活する中で教えていきたいといいます。
「6月に、ネパールの新しい学校を見に行くんだ」と嬉しそうに話す鈴木さん。シェアハウスの収益で寄付する初めての学校で、これで設立を支援した病院・学校は8か所目になります。
鈴木さんは、自らの経験やノウハウをもっと発信して、グローバルな若者を一人でも多く増やしていきたいといいます。「今後は、これまでの経験を踏まえて、シェアオフィスや会社経営について若者に教えたい」と意欲を示していました。
▲機能的な共有スペース
国際支援など、他人のために活動することは、自分に余裕がないとできないこと。でも、“余裕がないから”と挑戦を諦めるのではなく、自分自身を顧みて日常生活から改善していくことで、必然と余裕が生まれて自分以外にも目を向けられるようになる。まずは、“自分を見直す”ところから始めてみて。
そして、様々な人の話を聞き、自分から経験の場に行く機会を持ってほしい。経験して感じたことを行動に移すことで、さらに広い視野を身につけて、グローバルな心を持つことができる。人を助ける心、海外に目を向けられるグローバルな心を養って欲しい。
この記事を書いた人
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いぐする仙台の元学生編集長、藤原佳那です。
生まれも育ちも仙台の、生粋の仙台っ子。趣味は映画鑑賞で、仙台パルコ2に映画館ができたこともあり映画好きに拍車がかかっています。
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