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全力でお客さんを喜ばせるために「脱」牛乳屋?!株式会社チャント

長崎 陽平 長崎 陽平
388 views 2018.04.19
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長崎 陽平 長崎 陽平 東北大学
牛乳配達というと、配達日には牛乳が家まで届けられている。配達員は、決められたコースを、時間をかけずに、いかに素早く配達するかが大事というものだと想像していました。
ところが、牛乳配達をする会社、チャントのホームページを見てイメージが一転しました。最初に目に入ったのは「脱牛乳屋」の文字。えっ牛乳配達の会社なのに脱牛乳屋?!
ホームページは見やすい配置で、ブログもこまめに更新されています。月例全体ミーティングは、パートも含めた全スタッフが参加して行っているとか。
取材のお願いをすると、定例ミーティングもみせていただけることになりました。いったいどのような会社なのでしょうか。社長の倉元靖武(くらもとおさむ)さんにお話をうかがってきました。

チャントってこんな会社

乳製品宅配サービスの店milkshopDELIを企画運営する株式会社チャント(以降、チャントと表記)は、お城の形をした亘理駅から徒歩15分程です。スタッフは正社員とパートを合わせて14名います。
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2階建ての本社の外観はコンパクトで普通のオフィスのよう。
一見、牛乳配達の会社だとはわかりません。中に入ってみると、黄色が基調になっている明るい空間がありました。1階と2階は吹き抜けになっています。牛乳配達というと、倉庫中心で、社内も殺風景なのかと想像していましたが、全く違っていました。
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業務は主に牛乳やヨーグルトなどの乳製品の宅配サービス。株式会社明治の特約販売店です。ホームページでは、オリジナル企画など様々なキャンペーンを行ったり、動画を作成したり、独自のプロモーションを展開しています。
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社長の倉元さんは東京出身です。大学卒業後、就職し仙台に赴任しました。そこで東北・宮城の魅力にとりつかれたといいます。

倉元さんは結婚後、義父が1975年に立ち上げた「明治牛乳亘理販売所」を2000年に継ぎました。そして、2012年4月に新しく「株式会社チャント」を設立しました。
社長の奥さんの佳菜子さんに、チャントがどんな会社か聞くと、「一言でいうと、おかしな会社」と笑いながら答えてくれました。
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仙台の企業魅力

お客さんも、従業員も大事!「人」第一主義

人を大切にする姿勢は至る所に見られます。「人と関わるときには共感・共有・共鳴を大切にしている。お客さんも従業員も同じように大事にしたいと考えている」と倉元さんは話します。
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お客さんが大事

チャントが運営する「milkshopDELI」では会費制度をとっています。牛乳代金が他社に比べ比較的安く設定されている代わりに、月額360円の宅配基本サービス料金がかかります。これは「全てのお客様を公平に喜ばす」宅配サービスを提供するためです。そのためなのか、お客さんは長年契約している方が多いといいます。
牛乳の配達は日中にしています。お客さんとのコミュニケーションを大切に、基本的に手渡しを心がけています。
お客さんが不在の時は、保冷ボックスに保冷剤を入れ、温度管理をします。この時、お客さんが大体何時頃に牛乳を手にするかを想像し、天候や気温にあわせて保冷剤の数を調節します。つける保冷剤の枚数が分かるのも、気温が何度のときに、どのくらい保冷剤が溶けるのかを実験したからこそ。真夏の炎天下、保冷ボックス内の冷気は、どのくらいの枚数で何時間保てるのかをスタッフ総出で実験しました。また、配達先の家に人がいるいないにかかわらず、明るく元気に挨拶しています。他にも、集金の際、領収書にはコラムを添付しています。このお客さんとの絆を深めている「デリ・コラム」は、毎月続けて18年目になります。以前は倉元さんが一人で書いていましたが、ここ数年はパート社員も参加し、よりアットホームなものになっているとか。
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スタッフ全員がお客さん一人一人を覚え、満足してもらえるように柔軟な対応を心がけていると知り驚きました。2話し8聞くという「8対2の法則」に従い、お客さんの話を聞き相手を知る努力をする姿を研修でも目の当たりにしました。
そして、「デリ・コラム」第216号では僕らを取り上げてもらいました。

従業員も大事

「従業員も自分にとってはお客さん」と、倉元さんはスタッフにも気を配り、大事にしています。
月に1回、配達が休みの日にはパートも含めた社員全員が参加して定例ミーティングを開催します。2005年から始めたこのミーティングには、最初は一人しかスタッフが参加しない時もあったといいますが、いまではお客さんにとってよりよいサービスを提供しようと全員が参加しています。
倉元さんにとっては従業員の意見を広く聞く機会、スタッフにとっては、仕事への想いを深め、モチベーションを高める機会です。「やり方ではなくあり方」を重視しているので、方法を教えるのではなく、一人一人がチャント社員として「どうあるべきか」を考えています。
取材に訪れた日の議題の一つは「R-1ヨーグルトの市販品と宅配品の違いをどのようにしたら理解してもらえるか」というもの。市販されているものと宅配では原乳や添加物などに違いがあるのだそう。お客さんにとって分かりやすい説明になるように、体験なども交えアイデアを出し、話しあっていきます。
参加している人全員が意見を言い、考えを出し合う様子が印象的でした。

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▲月例全体ミーティングの様子。 ロールプレイで人体の免疫システムについて説明しています。

給与体系も変えました。一般的な販売店では、配達のスタッフは出来高制の業務委託契約が多いそうですが、チャントでは時給制の雇用契約で、福利厚生も充実させました。「会社の利益を確保するのは困難になったけれど、1軒1軒お客さんの話をじっくり聞き、より親切に対応してほしいから」と倉元さんはいいます。

様々な工夫が実って受賞!!

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チャントのサービスを評価しているのはお客さんだけではありません。
2010年の全国牛乳販売店流通改善協会優良事例コンテストでは、全国の販売店約9000店の中で第2位。優良賞を受賞しました。とりわけ安全衛生部門では特別賞を受賞し、品質管理では日本一に輝きました。
店舗入口にその賞状が飾ってありました。
「明治牛乳をとるなら、チャントからがいい」とお客さんに思ってもらえるよう、他店との差別化にも力が入っています。
オリジナルロゴ入りの宅配専用車両、メーカー支給ではないオリジナルユニフォーム、黄色を基調とした内装、店舗内に設置された業務用大型冷蔵庫、保冷剤の実験など、独自の取り組みをしています。
品質管理日本一の受賞は、これらのこだわりが評価された結果です。
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脱牛乳屋!! 地元の良さを伝えていきたい

チャントでは、お客さんに地元との関わりを深くもってもらいたいと思っています。地元の人々に牛乳だけでなく、地元のグルメも楽しんでもらいたいと、企画も立ち上げています。月々の牛乳代で貯まったポイントをラーメン屋さんの持ち帰り餃子などの地元グルメと交換できるイベント「僕が買ってきます」というものです。届ける商品は、宅配中にみつけちゃう、仲良くなっちゃう「宅配グルメ」です。日々の宅配の中で出会った仙南のおいしい物を紹介しています。
倉元さんはいいます。「東京で転居を繰り返す環境で育ち、地元という感覚がない人生を、この仕事に出会うまでは送ってきました。ようやく腰を据えることができた亘理・仙南には強い思い入れがあります。地域の暮らしを応援し、お客さんを“いかに喜ばせるか、楽しませるか”を考え、いろいろ企画して行きたい」。
亘理のいいところは?と聞くと、「亘理は食がうまい。魚、フルーツの産地だから知ってほしい」と倉元さん。「将来は自社で商品を開発し販売するのが夢」と話してくれました。
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株式会社チャントは「地域住民のため」を最優先し、利益よりも、人を喜ばせることにすべてを捧げていました。会社は私が想像していたような機械的な雰囲気ではありませんでした。10年以上定例ミーティングを続けてきた結果か、とてもアットホームで社長に対して意見もできるような雰囲気でした。ミーティングの中でどうやったら良さが伝わるのかを、パートの方含め、全員で真剣に話し合う姿が印象的でした。
定例ミーティングを見学させてもらった後、場所を変え倉元さんおすすめのお寿司屋さんでインタビューをしました。そこで食べたのが亘理名物ほっきめし。身が厚いホッキ貝がどんぶりに贅沢に盛られていて、見るからにおいしそう!亘理ならではの食事に興奮が止まりませんでした。
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そして、後日送られてきたのが写真のカード。この筆文字は倉元さん自ら描いたものです。倉元さんのおもてなしで、私は完全にチャントのファンになりました。
人を喜ばせるために全力を注ぐことは、利益のことを考えると難しい部分もあると思いますが、確実にファンは増えていて、中で働く人は誇りを持って働いているようでした。チャントは、これからもお客さんを想い続け、地元の特色を生かしたイベント・企画・自社製品を作っていくと思います。
このような地元密着型の企業は、地域の暮らしがより快適になるために大きな役割となって行くと思いました。
長崎 陽平長崎 陽平東北大学
文:長崎 陽平 東北大学3年
写真:青野 真子 東北学院大学3年、寺尾 まりえ(ワカツクコーディネーター)
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株式会社チャント
http://www.milkdeli.com/

この記事を書いた人

長崎 陽平
長崎 陽平
東北大学
富山出身、いつまでも食べ盛りの大学生。仙台は安くて、食べ物の量の多い店がたくさんあるので、誘惑と戦う日々を過ごしています。目標は仙台のラーメン店制覇!最近は自炊に奮闘中。