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東北から世界へ、“旅行xICT”で作る最先端サービス「株式会社 百戦錬磨」三浦高広さん

シズカ シズカ
395 views 2016.02.09

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1月19日のいぐするテラスは株式会社 百戦錬磨の三浦高広さんを迎え開催しました。タイトルは「東北から世界へ、『旅行xICT』で作る最先端サービス~仙台発ITベンチャー企業の挑戦」。
「いわゆる過疎地域で生まれたので、いなかを盛り上げるにはどうしたらいいのかというところに興味があります」。「ICTって言葉の響きに惹かれた。詳しく知りたいです!」という学生。「仙台からITサービスを提供するって珍しいと感じた。なぜ仙台なのか知りたい」という社会人。
学生と社会人、合わせて11名の参加者はそれぞれ気になっているキーワードをあげながら参加の動機を教えてくれました。

ICTを軸に課題を解決する

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百戦錬磨は仙台で、個人の間で取引するCtoCのプラットフォームを作り、サービスを展開している会社です。
「シェアリングエコノミーという言葉を聞いたことがありますか?」三浦さんは参加者に聞きます。「もの、体験、場所を知らない人同士で購入したり、使用したり、資源を有効活用する方法です」。世界だけでなく日本にも広がっているシェアリングの一つが民泊。空き家や空き部屋に人を泊める動きです。海外からの旅行客が増え都心部のホテルで満室状態が続いていること、空き家の管理などの問題解決になればと、百戦錬磨では「STAY JAPAN」を開発しました。泊まりたい人と泊まってほしい人をマッチングする民泊サービスです。現在、旅館業法に抵触しないよう国家戦略特別区域で展開する準備を整えています。
すでに展開している民泊のサービス「とまりーな」は、外国人にも人気があると三浦さんはいいます。泊まるだけでなく、農業体験、畳や囲炉裏、住民との交流ができ、より地域を楽しめるのが特徴です。「東北になかなか外国人観光客がこないという問題意識からサービスを開発しました。It’s Japanese!と喜ばれています」。


サービス
▲百戦練磨ホームページより

百戦錬磨は、経営理念「百戦錬磨はICTを活用して明確すぎる移動目的を創り出し旅行需要・交流人口の拡大を図ります」の通り「ICT(情報通信技術)」を軸に、民泊関連のサービスを中心にした事業を展開しているのです。
「究極的に言うと、世界を平和にしたいと考えているんです。みんな自分の知り合いを傷つけたくないですよね」三浦さんは問いかけます。「世界中で交流する人を増やし、知り合いがいる国が増えれば世界平和も実現できるのではないでしょうか」。会社が目指しているのはIT会社ではなく、ITを活用した旅行会社なんだと話します。
百戦錬磨は東日本大震災の翌年の2012年に設立されました。「東北でITを学んでも、就職で東京に出てしまうことが多い。少しでも雇用の受け皿になれないかと考えたから」仙台で開業したのだといいます。現在は東京と仙台にオフィスを構えています。「今は東京が30人、仙台は15人と東京の方が社員は多くなっています。本社は変わらず仙台ですけどね」。

なかなか思い通りにいかなかったけど今は誇れるキャリアになった

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「百戦錬磨に就職するまで転職や引越しが多かった」という三浦さんは、宮城工業高等専門学校(宮城高専、現・仙台高専名取キャンパス)を卒業しました。福島の実家が金型加工会社を営んでいたことから、将来は機械を動かす仕事につきたいと考えて高専に進学したといいます。
22歳で卒業後は地元を離れ、自動車の部品を作っている一部上場企業に就職しました。製品の設計に興味がありましたが、配属されたのはシステム課。「ITのキャリアはここからスタートしました」という三浦さん。システム部門で社内の生産管理システムづくりや海外の工場の立ち上げで出張も多かったそう。会社を辞めるまでの5年間、ずっと設計をしたいと希望を出していましたが、叶いませんでした。転職したIT企業や、予備校のシステム開発をする会社でもシステムエンジニアの配属でしたが、体調を崩したこともあり、地元に戻りたいと考えるようになったといいます。
「仙台でなかなか思うような仕事が見つからない中、持病も再発してしまいした。半年休んで見つけたのが百戦錬磨でした」。エンジニアとして就職しましたが、今は採用や社員の教育も担当しています。三浦さんはいいます「行き当たりばったりのようだけれど、百戦錬磨に就職して、他の人にも誇れるキャリアになったかなと思います」。

「今でこそ知名度が上がってきたけれど、なぜベンチャーを選んだのでしょうか?」と参加者から質問が。「ここで働いたらおもしろそうだと直感で思ったんです」と三浦さん。「他で働く話もあったけれど、百戦錬磨で働いたら数年後どうなっているかという予測がつかなかった。飽き性の自分には、新しいことがどんどんできそうなところがいいと思った」と話します。「今、楽しく仕事しています。これまでの転職にしても、新しいことをやりたいと突き詰めてきたような感じでしたから」。

挑戦し続けていく会社


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▲株式会社 百戦錬磨のロゴ

「『百戦錬磨』は、これから百戦チャレンジしていきましょう。百戦挑んでいく間に磨かれて、人もサービスも会社も良くなっていくというチャレンジの意味が込められた社名で」と笑いながら三浦さんは言います。「別に百戦錬磨の人が集まっているわけではないんです」。
社員の平均年齢は30代中盤位。ITベンチャーとしては年齢層が高めだそう。「他の会社を経験してきたメンバーが多いので、仕事の進め方が分かっていて自立しています。やりたいことがあったら自由に変えていく、責任をとれるならどんどんやってもいいという風土です」。
現在取り組んでいる特区での民泊事業は、旅行というカテゴリの中でこれからの宿泊がどうなっていくのかを考え、動いた結果なので先駆けになったことは不思議ではないそう。「海外では当たり前になりつつある中、日本では規制の対象で違法になってしまう。このままでは日本だけが世界の流れから取り残されてしまうと考え、政治家に提案や働きかけをしました」。
百戦錬磨では社員の他、学生のインターンも働いています。仙台では昨年の1年間で10名程度受け入れました。海外からの留学生もいるといいます。「いま、社員は東北出身の30代前後で同質性が高い。基本的に中途採用が多く、東北ではエンジニアへの応募が少ないこともあり2年間新しい社員が入っていません。学生という異文化を混ぜることで化学反応があるのではと考えました」。三浦さんはいいます「状況も法律も変わっていくIT業界にいる百戦錬磨は、3年後、5年後どうなっているのかが想像しにくい会社です。旅行というカテゴリでいうと、究極の旅はタイムマシーンでの移動かもしれない。旅行の概念がガラっと変わっておもしろいよね、とみんなで話しています」。タイムマシーンと聞いて驚く参加者たちの様子を見て、三浦さんは続けます。「自分たちが作る必要はないんですよ。ITでできること、できないことはあるけれど、これからも究極の目標に向かってちょっとずつでも進んでいきます」。

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参加者の声

「なぜやるのかを明確にしないとやる意味がないんだと改めて感じた」、「今日は事業の概要を詳しく知りたかったので、とても勉強になりました」と話す参加者。三浦さんの話を聞いて、「民泊はこれからアツくなると思う。そういうのに携わる機会があったら嬉しい」。「民泊のサイトを見ているだけで旅行に行ったような気分になりました。家に帰ってもっとみてみたいです」と、百戦錬磨のサービスにも興味津々でした。

文章:安部静香(いぐする仙台)
写真:鎌田尭(東北学院大学 4年)
画像提供:株式会社 百戦錬磨
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この記事を書いた人

シズカ
シズカ
「そんなに寒くないよ」と言われる仙台の冬が苦手な冬生まれ。
おいしいもの大好き。美味しいお店から発せられるオーラ(?)を感知するのが得意。
活字中毒気味。働いてなければ間違いなく冬ごもりします。