学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

歴史ある服を活かし新しい着こなしを提案する「Utah」

小幡竜一 小幡竜一
6,191 views 2014.12.01
小幡竜一 小幡竜一 東北工業大学3年(執筆当時)
最近、肌寒い日が続いています。コートやニット、マフラー、ストール…。オシャレが楽しくなる季節がやってきました!洋服好きな私は、アウターと小物を見つけるために、街中を散策していました。すると、石造り風の外観から独特な雰囲気を醸し出す古着屋を発見。初めて入るお店なので何だかとても緊張するけど、お邪魔します!

Utah(ユタ)ってこんな会社

JR仙台駅から徒歩約15分。青葉区本町の錦町公園付近にある3階建てビルの1階に、古着屋「Utah(ユタ)」があります。

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2005年にオープンし、もうすぐ10年。外観と内装は、西洋の「古城」をイメージしていて、非日常な空間を演出しています。広々とした店内には歴史の中で程よく使い込まれた、風格ある古着が並びます。

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壁にはスタジアムジャンパーや白いダッフルコート、カーキ色のモッズコートが四方に掛けられていて、服を見る人の目を惹きつけます。

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フロアの木製テーブルの上にハイネックのニットやデニムパンツ、丸型の椅子の上にはリュックとスニーカーなどがずらり。そのアイテムの付近には、古着でコーディネートされたマネキンがあり、「実際に着用するとこんな感じなんだ」とイメージできます。アイテムごとに綺麗に並べられていて、ひとつひとつを見るのに熱中してしまいました。

今回はUtahで広報活動と、古着の買い付けを担当する大和田晋吾さん(29)に話を聞きました。

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仙台の企業魅力3つ

使うほどに味が出る!古着への愛情

新品にはない古着の魅力について、大和田さんがまずあげたのが「使えば使うほど味が出ること」「物によっては昔の洋服のほうが製法技術はしっかりしていて、質がいい場合があるんですよ」といいます。

特に長く使うことを想定したレザー製品やデニム製品は、しっかり作りこまれたものが多いとか。特徴として、デニムは程よく色が落ち、自然な色合いに。レザー製品は使い込まれることによって、特有のしわが生まれ、また一味変わったものに化けるのだそうです。

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買い付けた古着は、汚れやしわの状態を確かめるために、しっかりメンテナンスを施します。スチーマーを使って、レザー製品以外はしわを出来る限り無くします。ものによりけりですが、1着あたり約5分間。しわを出来るだけ無くそうとすると、これぐらいの時間がかかるそうです。そして、古着とは思えないくらい、清潔感のある綺麗な仕上がりにすることを心掛けています。

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買い付けのポイントは「お客さんの顔」

Utahでは、その年の流行の服をアメリカで1年分購入し、店頭に並べます。特にアメリカのロサンゼルスを中心としたカリフォルニア州での買い付けにこだわっています。理由はフリーマーケットで売っている古着の数が多く、希少な商品があるからだそうです。

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買い付けの期間は最短で2週間、長い時はなんと2カ月かかるときも!主に古着の卸市場や、体育館2つ程の倉庫を持つ古着のディーラー、各地域のフリーマーケットを巡り、合計1000点以上を確保します。

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古着の中から、良質なものを見つけ出すのは困難なこと。特にデニムパンツはアメリカ人の体格が良く、日本人の体格に合うものがなかなか見つけられないそうです。
苦労はありますが、大和田さんは、「古着を選ぶ時、お客さんの顔が浮かぶんですよ。その人に似合いそうな服を探すんです」と笑顔で話します。

また、スタッフが好む系統の古着も進んで選びます「スタッフ自身が楽しみながら、積極的に古着を提案してもらいたい」という思いが込められているのです。

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人と人とのつながりを大切に

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Utahが目指すのはただ服を売るのではなく、人と人とのつながりを大切にしたお店です。接客で心掛けていることは、信頼を得るために会話を地道に続けること。「会話の中でお客さんのことを理解しようとする姿勢が、距離を縮めるコツです」と大和田さんは話します。

例えば、初めての来店客でも服装を観察し「こういうスタイルが好きそう」と予想を立てることで、心地よい会話のきっかけを作るようにしているそうです。

買い物のしやすさを考え、商品のレイアウトにも気を使います。「古着は宝探しのようなもの」と話す大和田さん。顧客が求めている商品は全員異なり、行動パターンも違います。そこで、古着の種類ごとにきちんと陳列し、商品を見やすくするようにしています。

来店客が何を求めているかを把握するための場として、常連客を招いてのイベント「Utah Party」、通称ユタパーも年2回開催しています。8年前から始め、来店客同士に仲良くなってもらうことも期待しているとか。「ユタパーがきっかけで、一緒にお店に来てくれるようになったら最高です」と新たなつながりが生まれることを願っています。

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はたらく若手社員

大山耕平さん(28) 勤務歴4年10カ月

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大山さんは、実はもともとお客さんとしてUtahに通っていたそう。大学を卒業後、仙台市内でアルバイトをしていた時に「社員にならないか」と誘われたそうです。

主な業務内容は接客と在庫管理。同じものが2つ存在しない古着にとって、在庫管理はとても困難です。そこで大まかにでもその古着の系統、色、アイテム、サイズ、状態をしっかり覚えておきます。また、似たような古着も記憶し、来店客に提供できるように心掛けています。

大山さんが仕事で一番楽しみにしているのは、初めてUtahに来る人と話すことです。今頑張っていること、目標としていること、何の勉強を頑張っているかを聞くことで「お客さんの成長を見ることができるのがうれしい」といいます。

やりがいを感じるのは、それまで来店客の持っていなかった古着を提案して「お客さんのクローゼットの枠を広げた時」、そして笑顔を自然と引き出せた瞬間です。「接客を通して自分もお客さんと一緒に成長していきたいです」と笑顔で話していました。

お客さんの目線で、客観的に見る

ずっと掲げている課題は「多くの人にUtahへ来てもらう流れを作る」こと。昔、お笑い芸人を経験したこともあるという大和田さん。人を楽しませ、笑顔を作り出すことで、来店客に満足してもらい「またここに来たいな」と思ってもらうことを目指しています。

Utahで楽しい時間を過ごせたということを、多くの人に広めてもらうためにも、自分自身がお客さん目線になり、自分を客観的に見ることを大切にしています。「こんなことされたら感動するだろうなーっていうのを考えて、自分の接客を地道に磨いていきたいです」と話しました。大和田さん含むUtahのスタッフ全員、来店客と古着を心から愛しています。

若者へのメッセージ

大和田さんは何事も「個性」が大切だと話します。「就職活動の面接で散々言われることも実は期待で、自分が本当にその仕事をやっていきたいなら、それはアドバイスだ」といいます。自分が今まで経験してきたことは、現在の自分に生かされているそうです。大和田さん曰く、個性は自分の武器であり教科書。「個性を発揮するには、どんなことにも挑戦すること。そのために自分の事を理解して、前に進んでほしいです」と笑顔で想いを語りました。

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私は今回の取材でお聞きした大和田さんの言葉が、心の中に残っています。「個性がいつか形になる」。この言葉を聞いて、私も自分の個性がどんな形で生かされていくのか楽しみになりました。古着屋さんの舞台裏の話や思いを聞けただけではなく、今までの経験を見直そうと思えたことが何よりの発見です。今回の取材で、スタッフの思いを知ることができただけではなく、もっと身近にあった「大切なもの」を感じられた気がします。

小幡竜一小幡竜一東北工業大学3年(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
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株式会社 Utah T.I.O.
http://www.utah-tio.co...
住所〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町2-9-16阿部勝ビル 1F
電話番号022-215-9230
営業時間11:30-20:00