創業106年のベンチャー企業!?「今野印刷株式会社」
印刷会社?なんとなくは分かります、なんとなく。調べてみるとなんと創業100年以上の歴史!そして何よりもベンチャービジネス論の先生が教えてくれた会社です。何か魅力的なものがあることは間違いない!これは取材しなければ。
今野印刷ってこんな会社
今野印刷株式会社の創業は1908年。創業者の今野一さんが仙台市南鍛冶町で印刷業を営んだのが始まりでした。昭和24年に個人企業から株式会社に。現在の本社は若林区六丁の目にあります。本社以外に制作部門としてKONNO CREATIVE+が若林区新寺に、営業所が東京都港区にあります。社員は47人。まさに「今野四十七士」。
主な業務は印刷物の企画や製作からWEBサイトのデザインまで。一般的に企業の寿命は20~30年と言われています。ですが今野印刷は106年!これには何か秘密があるはずです!
「荒吐ロックフェスティバル」の仕事も!?
なんと今野印刷では、大人気イベント「荒吐ロックフェスティバル」のホームページやチラシ・パンフレットといった印刷物も手掛けています!
エコにも配慮
「イケてる会社」今野印刷は、お客さんだけでなく、地球環境にもやさしい!有害な廃液を出さずに美しい印刷ができる「水なし印刷」や二酸化炭素の削減努力をしています。
変わらないのは 変わり続ける姿勢
現在、印刷物のデジタル化や異業種による参入など、様々な時代の変化によって印刷業界は苦境に立たされています。今野印刷ではそのような時代の変化に対応するために「革新」を続けています。今野印刷のモットー「変わらないのは 変わり続ける姿勢」。その取り組みを見ていきます。
「捨てられない印刷物」づくり
今野印刷では社員一人一人が「捨てられない印刷物づくり」という考えを共有しています。その思いを形にしたものが、焼き菓子用パッケージと万年カレンダーを組み合わせた商品です。万年カレンダーならいつまでも捨てずに飾ってもらえるはず…捨てられなければ、買ってくれたお客さんの心にいつまでも残ります。
まるで魔法みたい!?不思議な本
その他にも「裏返しにしても読める本」「左から読むと縦組み、右から読むと横組みになる本」「変わった材質を使った本」など独創的で不思議な商品があります。制作には「手間」をかけていると今野さん。
今野印刷では、営業で働く人はお客さんのニーズから、デザイナーはものづくりの視点から、印刷オペレータは職人の視点から、お互いに意見を出し合い商品づくりをしています。それぞれの立場から意見を言える雰囲気が良い商品づくりに繋がっています。
捨てられることが多い紙媒体を捨てられないようにする工夫。あえて「手間」をかけることが良い商品を生み出します。
海外進出!「tegami」を世界に届ける!
まさかの海外進出!
「まさか仙台の中小企業で海外に行けるなんて」営業の今野賢治さん(29)は笑顔で話します。今野印刷では、2010年からグリーディングカードの自社ブランド「tegami」を立ち上げアメリカやヨーロッパで商品展開をしてきました。
海外では、記念日に大切な人へ「グリーディングカード」というものを送ります。日本でも年賀状や暑中見舞いの文化がありますよね。
海外出張、どうでした?
今野さんは飛行機に搭乗する前日、徹夜で仕事をまとめていたと言います。
今野さん:飛行機に乗ったらすぐに寝てしまって。おかげで時差ボケは無かったです。
鎌田:時差ボケがないのは良いですね。ところで今野さんは英語は話せるんですか?
今野さん:いいえ、全然話せません(笑)
鎌田:えっ?じゃあ現地でのやりとりはどうしていたんですか?
今野さん:JETROのサービススタッフがいて、ほとんど彼らが通訳をしてくれたんです。
※JETRO(日本貿易振興機構)
今野さん:向こうは商売のスピードが早くて、その場で売り買いがバンバン行われるんですよね。日本と全然違う。
鎌田:凄いですね、海外の商売は。
今野さん:向こうのバイヤーはけっこうアドバイスくれるんです。「このアニメ柄は売れない」とか「このデザインは良い」とか。
鎌田:海外の人は親切ですね。そうやって新しい商品が作られていくんだと感じました。
鎌田:ところで出張のオフの時間は遊んだりしたんですか?
今野さん:商談が終わったら、現地のレコード店に行ってレコードを探したりしてましたね。
鎌田:音楽が好きなんですね。
今野さん:クラブ行くのが好きで、現地で「なんかバンドやってんな~」と思ってイベントに混ざったら、知らない人の誕生日パーティーで(笑)
鎌田:すごいコミュニケーション能力ですね(笑)
海外での商談はデザイン勝負!
海外でのグリーディングカードでの商戦で勝ち抜くには「デザインの良さ」が必要になると言います。
今野印刷では、デザイナーと営業が知恵を絞って面白い商品を生み出す事に力を注いでいます。
「だけじゃない」印刷会社
注文を受けて、注文通り商品を生産する…「だけ」ではないのが今野印刷です。お客さんがどのように「伝えたいか、売り込みたいか、見せたいか?」を営業やデザイナーが共に考え、商品づくりや提案をしています。商品を売り込むためにはパッケージやチラシの他にWEBサイトがほしいのでは?ダイレクトメールがほしいのでは?とお客さんに提案していくことで、お客さんの価値観をつくる「顧客の価値創造」をしています。このような提案をすることで、お客さんの「隠れたニーズ」を引き出しています。つまり、お客さんの「これもいいね!」を引き出しているのです。
お客さんと共に良い商品づくりをしていくことが、長く寄り添ってもらうことができる秘密です。
工場見学に行ってきました!
工場に入ると、独特なインクの香りが。騒がしく、大きな機械が忙しそうに動いています。
上を見上げるとなにやらダクトのようなものから霧が。紙は乾燥すると曲がってしまうため、工場の温度は約23度、湿度は約60%と一定に保たれています。
ここで働いているのが「印刷オペレータ」という印刷のスペシャリストたち。機械に印刷をかけるのはもちろん、仕上がりのチェック・機械や紙のメンテナンス・生産管理など、ものづくりの最終工程を担っています。
6秒で分かる!印刷の流れ。
大ざっぱですが、こんな感じで印刷物は作られます。
はたらく人たち
さて、今野印刷で働くと、いったいどんな仕事をするのでしょうか?営業とデザイナー、2人のワークライフを覗いてみました。
【営業】今野賢治さんの1日
今回取材を受けていただいた営業の今野賢治さん(29)の1日を見ていきます!今野さんは東北学院大学経済学部出身ということで、まさに私の先輩です。今年で勤続8年目。海外出張もあり大忙しです。
子供の頃から「モノづくり」が好きで、高校時代にはベガルタのゲートフラッグをつくっていました。モノづくり好きということと、名字が奇しくも「今野」ということもあり今野印刷に入社したそうです。しばしば社長の息子と間違われることもあるとか…。音楽と奥さん、子供3人をこよなく愛するお父さんです。
【グラフィックデザイナー】高橋ちひろさんの1日
制作部門のKONNNO CREATIVE+にお邪魔した際に取材を受けていただいた入社1年目、初々しい雰囲気の高橋ちひろさん(24)です。KONNO CREATIVE+は、営業部が受けた注文をお客さんのニーズに合わせ、デザイン、制作をする部門です。
高橋さんは宮城教育大学大学院美術教育専修出身。現在はロゴタイプ(企業のロゴの文字)のデザインをしています。現在はグラフィックデザイナーとして仕事をしていますが、今後はお客さんと一緒に打ち合わせをして企画をする「アートディレクター」としての仕事もしていく予定です。
元々デザインが好きで大学時代には美術の先生を目指していたとのこと。デザインの発想を得るため、外出した時、雑誌や広告、外の風景などを常に意識して見ているそうです。現在仕事についての「修行中」。「今は毎日が勉強です」と高橋さん。一生懸命な高橋さんの姿勢はKONNO CREATIVE+事務所に新鮮な風を送り込んでいます。
まとめ
「100年企業のイノベーションの秘密を探る」というテーマを自分の中で立て、取材してきました。独創的な商品づくり、積極的な海外進出…何事もチャレンジ精神が大切なのだと感じました。「お客さんのニーズ」を引き出すという部分は、大学生活ではなかなか知ることができないビジネスの部分です。大学在学中に貴重なお話を聞けて良かったです。「変わり続けることを変えない」…日々、自分を良い方向に変えていけるような人間になりたいです。
左から筆者、橋浦隆一社長、今野賢治さん
今回の取材で橋浦社長はご多忙とあらかじめ伺っていたので、まさかお会いできるとは思いませんでした。本当は多くのことを聞いてみたかったのですが、写真のみの登場となってしまいました。今野さん、高橋さん曰く「社長との距離が近い会社」とのことで、上司部下関係なく一致団結して業務に取り組める環境なのだと感じました。それが良い商品・サービスをつくりだしているのだと思います。
従業員数 | 47名(平成26年5月現在) |
住所 | 仙台市若林区六丁の目西町2-10 |
電話番号 | 022-288-6123 |
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