急須で入れたお茶で、ほっ。大切な時間を取り戻す「日本の3時プロジェクト」始動
午後3時、宮城の100社にお茶をすする音が響く
「お茶の井ケ田」(仙台市青葉区)の店内では、忙しい現代の生活ではなかなか見られなくなった光景を目にする。一つのテーブルを囲み、急須で入れたお茶を飲んでほっと一息つく。まるで「3時のおやつ」のような、ゆったりした時間だ。
そんな大切な時間を取り戻すため、井ケ田製茶が「日本の3時プロジェクト」を実施した。東日本大震災から約2年経った今年3月18日午後3時、宮城県内各地の100の企業・団体で、一斉にお茶を飲むというものだった。
▲日本の3時プロジェクトについて語る今野順子さん=2013年8月23日仙台市青葉区
「3時のおやつ」が担っていた役割とは
かつて、日本の午後3時は一つの机を囲み、急須でお茶を入れてお菓子を食べる時間だった。一杯のお茶が、ひとつのお菓子が、人と人をつなぐ役割をしていた。
「その時間を取り戻したい」と話す常務取締役の今野順子さん。願うのは「お茶を通して楽しむ団らん」の復活だ。
現在、ペットボトルのお茶が自動販売機やコンビニなど至る所で簡単に手に入る。そのため「お茶=買ってくるもの」と考えている若者が多く、子どものころから急須で入れたお茶へのなじみは薄れつつある。また毎日仕事に追われている人々が多いため、自然と「3時のおやつの時間」は消えていってしまった。
井ケ田製茶は、そんなお疲れ気味の人たちに、ほっと一息ついて「休んでほしい」という願いと、急須で入れるお茶の良さを「伝えたい」という思いがある。それが「日本の3時プロジェクト」へとつながった。
「3時のおやつ」が当たり前になる日まで
3月に参加した企業・団体からは「美味しかった」「お茶を飲む良さを実感した」など、たくさんの声が寄せられた。仕事に追われる多くの人々に安らぎと癒しの時間を与えた。
「日本の3時プロジェクト」は今年の秋に第2弾が行われ、宮城県内の広い地域でお茶をすする音が聞こえ、ゆったりとした時間が流れた。
「3時のおやつ」の大切さを実感してもらい、その時間が日常に戻るために、これからも井ケ田製茶の挑戦が続く。
取材を終えて
井ケ田製茶株式会社の取材を通して中小企業にしかない「挑戦する」魅力を発見することができました。井ケ田は「急須で入れるお茶」の伝統を守りながら新しいことに挑戦しています。その一つとして今回取り上げた「日本の3時プロジェクト」があります。これはお茶の文化を守ることと、3時のおやつの時間を再び取り戻すために行われたものです。このプロジェクトは地域の時間の流れを身近で見ていた井ケ田だからこそできたことだと思いました。
この記事を書いた人
- 東北学院大学文学部英文学科3年
この人が書いた記事
- 記者(個人)2014.02.24多忙の中にほっと一息
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