技術力と豊富な在庫量で勝負!丸森町のステンレスメーカー「メルコジャパン」
メルコジャパンってこんな会社
仙台市内から車で1時間、田園風景が広がる緑豊かな丸森町。
▼車窓からの風景
この町にある「メルコジャパン」は、ステンレス製品の製造から出荷までを、一貫して担う会社です。創業は1962年、1996年から丸森町に工場を置き、2年前(2017年)に本社も丸森町に移しました。
丸森町を選んだのは、主に2つの理由から。1つは、ステンレスの素材を置くだけでなく、さまざまな機能を集約した「在庫センター」をつくる広大な用地が欲しかったこと。もう1つは、採用のニーズがあまり多くない地域で、地元就職を希望する若い人たちの就職先として、人材を確保しやすかったことだといいます。
▲会長の栗田益行さん
メルコジャパンが「ステンレス」に注目したのは、耐熱性や耐酸性に優れていて、その一方で加工や溶接がとても難しいため。大手メーカーが取り扱う「特殊鋼(こう)」という金属は競争が厳しかったため、ステンレスでトップクラスのメーカーを目指しました。
▲敷地内にはステンレス製のオブジェが
真空環境をつくる装置?!ニッチな分野にも高い技術力
先に紹介したように、ステンレスは耐熱性や耐酸性に優れている一方で、加工や溶接がとても難しい素材です。メルコジャパンでは、創業当初から試行錯誤を重ねて、ステンレスを扱う技術力を高めてきました。
主力製品の「真空チャンバー」は、真空の環境をつくる容器。テレビの液晶画面を製造するための装置や、研究機関向けの装置などに活用されています。さらに、今後の成長が見込まれる航空機の部品や、スマートフォンに使われる半導体の装置なども扱っています。
こうした高い技術力が求められる製品でも、材料の仕入れから溶接・加工、組み立て、研磨までを一環して担っているため、顧客のニーズに応えることができます。
▲ステンレスの板を、1,000℃以上に加熱されたガスで切断!しかも、切断は水の中で行っているんです。
広い在庫センターに豊富なストック
“サビにくい”というステンレスならではの特徴を活かして、在庫センターには国内有数の在庫量が保持されています。
在庫量が多いことで、価格を抑えながら、多様な注文や納期に柔軟に応じることができます。こうして顧客の幅広いニーズに対応することで、「メルコジャパンなら大丈夫」という安心や信頼を得ることができています。
▲ステンレス製品の一例
会長から社員へ伝播する雰囲気の良さ
社内は会話が多く、笑顔も見られる雰囲気の良さがあります。栗田さんは会長ではありますが、自ら工場に足を運び、社員の方とコミュニケーションをとっています。
取材中も、栗田さんと社員の方との会話で笑いが起こり、“会長”のイメージと違っていて驚きました。「工場にいる社員と会話をすることで、機械やそこで働く人たちの調子を見ているんだよ」と栗田さん。
また、工場には現在、10名のフィリピン出身の社員が在籍しています。なんと、栗田さんがフィリピンに出向いて、英語で採用試験を実施しているんです!取材中も、ユーモアあふれる例えをしたり、英単語を交えながら話したりと、本当にフレンドリーで話しやすい方だと感じました。
5~6年後の展望
次の3つの柱での事業展開を考えているといいます。
①現在の主力商品「真空チャンバー」の製造
②真空チャンバーの中に取り付けられる「加熱・冷却用の機械」を自社で製造
③無人工場(48時間無人稼働)を建設し「精密部品」を製造
また、栗田さんは、工場で働く人だけでなく、生産効率や技術力をアップするために必要な知識を備えた社員も育てていき、“ものづくり”の良さや魅力をもっと県内に広めていきたいと強く願っています。「学生が県外転出するのは、地元に優良企業が少ないからではないか。そのためにも、仙台・宮城をもっと盛り上げたい」。
立っているだけで汗が出てくるような熱気の中、社員全員が協力し合い、多くの人の手によって一つの製品が出来上がっていく光景は、本当に素晴らしかったです。卒業後は自動車メーカーで働く自分も、日本が誇る「ものづくり」を今後も大事に守りながら、世界にその魅力を発信していけるような人材になりたいと思いました。
この記事を書いた人
- 大学進学を機に静岡から仙台に来ました。静岡出身ですが、スキーやスノボが大好きで、冬には仙台でもよくやります!これから、いぐするの活動を通して様々な会社や業界を知れたらいいなと思っています!
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