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“印刷会社”だった過去が強み 提案力の「ホクトコーポレーション」

加藤 奈津海 加藤 奈津海
2,432 views 2017.01.26
加藤 奈津海 加藤 奈津海 宮城学院女子大学(執筆当時) 
「書籍や雑誌の売り上げが落ち込んでいる」という内容の記事を、ついこの間新聞で読みました。紙媒体が主流だった時代ではなくなってきている…じゃあ現代の印刷会社はどうなっているの?小さな「町の印刷屋さん」が出発点だったという、ホクトコーポレーションに潜入してきました!

ホクトコーポレーションってこんな会社

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▲手前が本社外観。その右奥が工場で隣接している。

愛子駅から車で10分。高い建物はほとんどなく、のんびりとした町並みを通ります。住宅街が一望できる丘を下っていくと、株式会社ホクトコーポレーションの本社と工場が建ち並んでいるのが見えます。取材を受けてくれたのは、常務取締役兼営業本部長の及川文智さんです。

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▲取材に応じてくれた及川文智さん。

ホクトコーポレーションは印刷物、広告やCM依頼、イベント運営など、お客さんの必要とする情報サービスを提供する会社です。2016年2月に導入した製本システムにより、企画から印刷、製本まで全てホクトコーポレーションで対応できます。「お客さんのビジネスパートナーとして、スピーディに応えられることが売りです」と及川さんは言います。

2017年で40周年を迎えるホクトコーポレーションは、「有限会社北斗企画印刷」として1977年に青葉区千代田町(東北福祉大前)で及川さんの両親が開業しました。社名は、祖父がもともとやっていた建設関係の「北斗商会」が由来です。当時はモノクロのページ物や端物、ハガキ、封筒などを中心とした軽印刷が主流でしたが1998年に軽印刷から一般印刷に転身すべく本社を愛子に移しました。社名も「ホクトコーポレーション」に変更。「「これが今のホクトコーポレーションの一番の転機だった」と及川さん。「今から3年前の2014年に兄が代表取締役に就任してからは、創立者である父の念願でもあった第二工場を秋保に設立するなど積極的に事業展開しています」。
現在、社員は60人。本社・工場の他にも制作部、第二工場、そして東京営業所があります。

仙台の企業魅力

印刷などの媒体をどう使う?提案力でお客さんのパートナーに

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「お客さんにとってなにが一番良いか」という視点から印刷、広告、イベント運営などを使った企画提案をしていくのがホクトコーポレーションのスタイルです。
「他社とは異なる提案力がほしかった」と及川さん。2006年には企業方針として、印刷物を中心に展開する「Total Printing(トータルプリンティング)」から、お客さんに提案をしていく「Creative Partner(クリエイティブパートナー)」に変えました。
「5年10年先、印刷物はどうなっているのかわからない。でも印刷という媒体はゼロにはならないと思う」と、及川さん。
8年前から子育てをする人たちをターゲットにした「ままぱれ」というフリーペーパーを、月に一度発行しています。両面刷りの、一回で16ページ分も刷れる「水なし印刷機」を導入することで、効率よく紙媒体での情報サービスも続けていきます。

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▲印刷された「ままぱれ」。

「コミュニケーション」も情報媒体の一つだと考え、子育てイベント「ままぱれ祭り」を開催しています。「ままぱれ」を多くの人に知ってもらうこと以外に、「企業と子育て中の読者を合わせることが目的」だと言う及川さん。「読者と直接触れ合うことで、企業がサービスを提案しやすくなる」。さらに「コミュニケーションを含む媒体を増やすことで、お客さんがより完成度の高いものを作り上げていく助けになることができる」と答えてくれました。2016年に第一回を開催したイベントを、今年は1月29日に夢メッセで開催する予定です。
ままぱれ祭り2017 in夢メッセ:http://media-palette.jp/mamapale/maturi/index.shtml

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▲ままぱれ編集会議の様子。ままぱれ祭りに向けて準備中。

信頼の獲得は環境への配慮から

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▲制作部から送られてきたデータが焼かれた板。これを使って印刷される。

「お客さんに安心感を得てもらいたい」という思いから環境に対する取り組みを始めました。
工場には8年前から地球環境に配慮した「水なし印刷」ができる印刷機を導入しています。
まだ変える必要のなかった印刷機器を変えたのは、環境に対して配慮していることが目に見えてわかるマークがあるため。お客様に安心感を得てもらいやすいのでは、お客さんのイメージアップにも貢献できるのではという考えがあったからだといいます。水なし印刷による印刷物は「バタフライマーク」とよばれる表示が付き、マークを利用することができます。マーク取得には「最低でも2年以上はかかる」と及川さん。
震災後からは「非常時用」として太陽光発電も使用。また、カーボンオフセット制度を利用したり、環境マネジメントシステムの国際標準規格ISO14001の認証を取得したり、環境イベント「エコプロダクツ」に出展していたりもしています。

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▲VOCと呼ばれる有害物質を抑えた水なし印刷機。

お客さんの信頼を第一に考えた水なし印刷機の導入は、結果として作業員への健康問題の改善にもつながったといいます。女性が多く所属している制作部では産休や育休の利用も活発です。定着率も向上し、中には20年以上ホクトコーポレーションで働いている人も。社員100人を目指し、環境への配慮もしながら定職率の向上も目指しています。

印刷だけに偏らず、時代に合わせた情報伝達をしてゆく

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ホクトコーポレーションが「クリエイティブ」を意識しだしたのは、8年前。「ままぱれを立ち上げる時、リスクよりメリットを優先し、逆にビジネスチャンスだと考えました」と及川さんは言います。「反発も、不満を漏らす人もいたけれど、今は『ままぱれをやっていてよかった』という声も聞こえます。『結果をつくる』というクリエイティブ精神があったからだと思います」。

今後時代に合わせ、印刷やWebなどで情報伝達をしていきたいという及川さん。「必要に応じて媒体を増やし、時には時代を先取りしてやってきたい、それがお客さんへの提案にもつながります」。

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▲2017年度のカレンダー。「ものを生み出す会社」として毎年デザインを変えている。

取材を終えて、ホクトコーポレーションは「お客様に合わせる」ことを大切にする会社だと感じました。決して「今どき」になったわけではなく、昔からの印刷物も取り扱うことで、古くからの顧客の信頼も得る。情報の手段にとらわれないことで、人とのつながり(コミュニケーション)を大切にする姿勢がホクトコーポレーションの魅力だと思いました。
また、「最後に学生に向けて何かひとことお願いします!」と聞いたところ、「スマホの普及によりネットが身近になり良くも悪くも情報が入ってきやすい時代。メールやLINEなど、文字でのやり取りが便利でが主流になっている今だからこそ直接人と話をする事を大事にしたい」と言っていました。「ビジネスでもプライベートでもフェイスtoフェイスは非常に大切なことだ」と考える及川さんに、実はおすすめのラーメン屋を取材後に教えてもらいました(笑)何気ない話題でもいい。スマホ世代に生まれた私は、社会に出ていく前にまずは人と会話することを心掛ける必要があると考えました。よし、さっそく明日から意識してみようかな!

加藤 奈津海加藤 奈津海宮城学院女子大学(執筆当時) 
文章:加藤 奈津海(宮城学院女子大学3年)
写真:平田 真梨子(東北学院大学3年)
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株式会社ホクトコーポレーション
http://www.hokuto-web....

この記事を書いた人

加藤 奈津海
加藤 奈津海
趣味を増やしすぎて常に「お金がない」といっている星人。映画・読書・フェス・ドライブ…あれ、世の中のもの全部好きかもしれない。最近嬉しかったことは友達から「おもしろい人No.1 」の称号を与えられたこと。