テラス

あなたは就職活動を続けますか?「HMKデザイン」三浦博文さん

加藤 奈津海 加藤 奈津海
526 views 2016.11.03

就活をしなくてもいい!?

10月14日、「いぐするテラス」のゲストはH・M・K DESIGN(エイチ・エム・ケイ・デザイン)代表の三浦博文(みうら・ひろぶみ)さんです。
タイトルは、「あなたは就職活動を続けますか?」。
「就活をしたいと考えている人にとって衝撃的なタイトルだと思います」と参加者を驚かせた三浦さん。経験してきたことやHMKデザインでの取り組みを軸に、HMKデザインの今後の展開や、就職活動をする人たちへ「新たな働き方」について話してくれました。

HMKデザインの「4つの柱」

「人材育成」「機械設計」「コンサルタント」「デザイン」の4つの柱で支えられているのが、HMKデザイン。この4つを組み合わせる「コンビネーション」を強みにしていることが特徴です。

「HMKデザインは『個人事業主の集団』です」と三浦さんは言います。社員は正スタッフ、協力スタッフ、学生スタッフ(インターン)の3分類ですが、給与制ではなく、自分で自分の仕事を確保し収入を得る仕組みです。
「個人事業主は仕事の量を自分で決めることができます。働いた分だけ収入になる、働く場所も休暇も自分で決められ、やりたい仕事もできる。お客さんに迷惑かからないように気を付けつつ土日以外に休むこともできるので、夏休みや年末年始など、それぞれ二週間ほど帰省するスタッフもいる」と三浦さんは言います。

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正スタッフはHMKデザインの名前を自分の個人事業名と組み合わせて使えます。
わかりやすく言うと、正スタッフは「ロイヤリティをとらないフランチャイズみたいなもの」。
正スタッフになるには、インターンをしたりHMKデザインのスクールで教育を受けたりしながら、仕事をまかせても大丈夫か、長い時間をかけて判断されます。たとえばインターンは2日間から最大10日間程度。「面接や実技を見るけど、面接といっても肩肘張ったものではなくお茶を飲みながら普通の会話をする感じ」。HMKデザインの名前が使えることで、個人事業主になったばかりでも、お客さんからの信頼を得られる。だから「ずるい人」はだめ。判断基準は「成し遂げようと考える人。その結果に、お金がついてくるんです」。

スタッフの仕事は事務用ロボットの設計やデザイン、HPの作成や人材育成など。学生スタッフが担当したロボット作成の様子は、テレビでも紹介されました。「ITを駆使していくと仕事がもらえるし、人材のつながりもできてくる」という言葉の通り、2017年1月にはFacebookを通してインドの学生がインターンシップに来ることが決まりました。

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▲学生向けキャリアセミナーの様子 (提供:HMKデザイン)

努力の先に見えたもの

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三浦さんは「直接お会いして話せる方々には、うちのような働き方もあるんだよ、と伝えられたらいいな」と言います。
学生時代はお金がなく、昼は働き、夜は稼いだお金で夜間学校に通っていた三浦さん。通っていた学校には、自分の両親より年上の人や大卒の人など、様々な年齢や学歴の人たちがいたといいます。学校の環境に臆することなく勉強を続け、とうとう卒業生で一番の成績をとることができたのです。学校での経験を機に「スタートが違っても努力すれば色々なものになれる」と確信したといいます。卒業後、企業に就職してからも知識を深める必要性を感じたり、興味が湧いたりして大学やMBAの通信教育を受けるなど、「とにかくやってみよう」と心掛けてきました。
「親や学校がこの企業に入りなさい、と言うかもしれない。でも、最終的に決断を下すのは自分です。自分で決めないと後から不満がでてくる」と三浦さん。学生たちに熱い思いを投げかけます。

皆が働きやすい環境を広めたい

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「HMKデザインを100拠点作れたらいいよね」と三浦さん。今後、個人事業主の全国的なネットワークづくりをしたい。また、海外からインターンシップを受け入れたように、グローバル展開も視野に入れ、活動したいと考えています。
HMKデザインの提案する働き方は、困難な状況に直面した人に「諦める」以外の選択肢を増やせるのではないでしょうか。
例えば転勤などを理由に仕事を辞めざるをえないという状況を回避できる。仕事をみんなで共有することで、一人ひとりの負担を軽減できるという意味でも大きなメリットです。

学生スタッフとして専門分野の仕事があれば、奨学金を借りずに、学業と仕事を両立できる。このような、場所も時間も年齢にも縛られない新しい働き方を中小企業にも提案していきたいと話してくれました。

取材を終えて

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今回の参加者は4名。県外からきた人、中には就職活動を終えた人もいました。
HMKデザインの取り組みに対し、「発想が新しすぎて頭がついていけないです」と言う参加者の学生も。三浦さんは満面の笑みで「うちではこれを実践しているんです」と自信を見せました。
質疑応答では、「この働き方が広まった時、頑張っても仕事ができない人が受けるデメリットはどうやって解消していくんですか」という質問が。三浦さんは「それぞれの能力に合わせて、自分が持っている能力を最大限に発揮できるような環境が必要では」といいました。
私は、これまで中小企業は、とても忙しく、自分で仕事や休みを選ぶことのできない不自由さがあるのではと考えていました。しかし三浦さんの話を聞き、年代、性別、生活環境にとらわれず働けるよう、職場環境を整えている企業もあるのだと思いました。今後、私の中で就職活動をしていく上での「基準」というものが大きく変わっていくのではないかと感じました。

取材協力・写真提供:H・M・K DESIGN

文章・写真:加藤奈津海(宮城学院女子大学 3学年)
写真:安部静香(いぐする仙台)

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この記事を書いた人

加藤 奈津海
加藤 奈津海
趣味を増やしすぎて常に「お金がない」といっている星人。映画・読書・フェス・ドライブ…あれ、世の中のもの全部好きかもしれない。最近嬉しかったことは友達から「おもしろい人No.1 」の称号を与えられたこと。