テラス

人生のロールモデルは一つじゃない「クラウドワークス」石山安珠さん

川口 御生 川口 御生
2,135 views 2015.11.17

新しい働き方の実現に向けて

10月29日のいぐするテラスは「中小企業ラボ」と題した番外編。東京のITベンチャー企業で働く大人の方にお話を伺いました。ゲストは、株式会社クラウドワークスの石山安珠(いしやま・あんじゅ)さん。クラウドワークスは「クラウドソーシング」というインターネットで仕事の受発注ができるサービスを展開しており、地方の中小企業の支援なども行っています。石山さんはリクルートに3年勤めた後、現在の会社に転職したんだそうです。石山さんのキャリアから人生観まで、沢山のお話を聞きました。

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クラウドソーシングって何?

そもそもクラウドソーシングって何でしょう?これはインターネットを介して不特定多数の人に業務の委託や外注を行うことです。クラウドワークスでは企業(受注者)の情報を管理し働き手(委託者)を公募することで、企業と働き手の間で仕事のマッチングを行っています。

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クラウドソーシングを用いることで、企業は業務の成果に賃金を払います。必要な分だけ人材を確保できるので従来に比べコストを抑えることが可能です。「新しいアイディアが欲しい」「人手が足りないけど雇用する余裕がない」など、様々な問題を抱える地域の中小企業にクラウドソーシングを提案しています。中小企業庁によると、日本の事業者のうち約400万社、99.7%は中小企業です。「中小企業の活性化なしには、日本の発展はありえない」と石山さんは強調します。

実際にクラウドソーシングを活用し、地元商品の魅力を首都圏に発信した例があります。
例えば宮城県山元町で作られた、「ミガキイチゴ」。イチゴ栽培の好条件がそろう山元町で、ICTを駆使し安定生産されているイチゴです。このミガキイチゴで作られたワインを東京でPRするためのプロモーションの企画及び運営をクラウドワークスに発注しました。本来であれば企業側がアイディアを出さねばいけないところですが、クラウドソーシングを用いれば、社外からアイディアを募ることが可能になります。全国からアイディアを募集し、良いものを選択できるようなプラットフォームを形成することで、ミガキイチゴの知名度向上に貢献しています。

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リクルートを辞め、クラウドワークスへ転職

新卒でリクルートに入社してから3年間、大企業の採用コンサルティングや、学生向けPRなどの仕事に携わった石山さん。景気によって新卒の求人数が増減する状況を見て、疑問に思いました。

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「景気という不可抗力によって自分の働きたい職に就けないなんて、もったいない。やりたい仕事を選択できる世の中にしたい」。石山さんは個人が組織に属さなくても、自由に働き方や生き方を選べる社会づくりに興味を持ちました。クラウドソーシングを通じて、多様な働き方が可能になる社会、これが石山さんの目指す社会の姿です。

人生のロールモデルは1つじゃない

プライベートでは「働く20代のサードプレイスURAWORKS」の代表として、主にイベントの企画・運営をしています。対象は主に働く20代。働く企業も様々で多種多様なバックグラウンドを持つ人々が出会える場を提供し、ワークショップ形式で対話を行います。「人との出会いを通じて、自分と異なる価値観を持つ人と対話し、人生の選択肢を増やしていってほしい。そして多様な選択肢の中から、自分の生き方を選択できるという価値観を持ってほしいです」。クラウドソーシングで新しい働き方・生き方の創出と、対話の場を通して多様な生き方を肯定できる価値観の形成、という2つの側面から、次世代に提案をしています。

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「多様な生き方、働き方があるからこそ、幸せの価値観も条件も一つじゃなくていい」と話す石山さん。誰もが働き方を選べる時代へ―。石山さんの挑戦はまだ始まったばかりです。

いぐするテラスを終えて

「私は今とても幸せです。なぜならどんな環境や、心の状態の時に自分の心が満たされるか分かっているからです」。この石山さんの言葉が印象的でした。私自身を省みると、様々なフィールドで活躍する人々を見て自分にないものへの憧れだけが募り、自分の幸せが具体的にどのようなものかわかっていませんでした。石山さんの言葉を受けて、誰かの幸せの条件を当てはめるのではなく、自分で自分の幸せを定義したいと思いました。
私は誰かにとって唯一無二の存在になれたときに喜びや幸せを感じます。家族や友人、将来共に働く方々…、周囲の人に何か付加価値を提供できる人になりたいと思いました。まずは身近なところから、いぐする仙台で中小企業の魅力が分かりやすく伝わる記事を書けるよう、取材相手と自分の原稿に真摯に向き合っていきたいと思います。

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画像提供:株式会社クラウドワークス
文章:川口御生(山形大学3年)
写真:川口御生(山形大学3年)、安部静香(いぐする仙台)

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