学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

生活を陰から支え、美しく彩る!顧客の願いを叶える段ボール会社「佐貞商店」

能登谷唯華 能登谷唯華
1,070 views 2015.01.23
能登谷唯華 能登谷唯華 東北大学2年(執筆当時)
1年の中でも特に物流がさかんになる年末年始。お歳暮やおせち料理、初売りの福袋など、激しく物が行き交います。私も近年流行りの「お菓子の福袋」を店頭に並び購入!お得なお菓子たちを美味しく頂いております。そんな物流をスムーズに行うために欠かすことのできないものがあります。それは・・・段ボール箱!というわけで今回は皆さんの大事なものを守り、届ける箱を作っている、段ボール箱製造会社「佐貞商店」へと取材に行ってきました!

佐貞商店って、こんな会社!

JR本塩釜駅から、大通り沿いを10分ほど歩いたところにある「佐貞商店」。1958年に創業し、以来輸送用の箱を作り続けてきました。現社長の佐藤亘さん(48)で3代目。歴史のある段ボール会社です。

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段ボールを作る会社には2つの種類があります。ライナーという原紙を貼り合わせて段ボールシートと呼ばれる段ボール自体を作る段ボールメーカーと、段ボールシートを様々な形の箱へと加工するボックスメーカーです。「佐貞商店」はボックスメーカーに当たります。

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作っているのは輸送箱と化粧箱の2種類。輸送箱は、工場で作られた蒲鉾や麺などの食品をスーパーなどに運ぶのに用いられています。化粧箱は、贈答用として商品を美しく並べ、かつ保護する役割があります。物の流れをスムーズにするため、そして感謝やお祝いの気持ちをより華やかなものにするため、私たちの日常を陰から表から支える箱を作り続けています。

仙台の企業魅力3つ

心を包むのではない、包む心を抱くのだ!

「段ボールと聞いて何を思い浮かべる?」

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取材の初めに、突然社長の佐藤亘さんから質問が!身近にある段ボールですが、いざ聞かれると混乱してしまいました。何とか「商品を運ぶために使うもの?」と疑問符交じりに答えると「それだけではないんだよ。段ボールには3つの役割がある」と教えてくれました。

①商品を守る
②大切に届ける
③段ボール自体が中の商品の広告になる

工場を見学させてもらうと・・・

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様々な形や大きさの箱が積み上げられていました!
佐貞商店は、数多くの厚さの段ボール紙を様々な形に加工し、顧客が必要としている段ボール箱に最も適するものを作っています。ただ箱を加工するだけでなく、顧客が持ってきたロゴやイラストなどのデータや要望をもとに型となる版(はん)を作り、段ボールの印字も行っています。
要望に丁寧に合わせて、段ボールの加工を行うことが、3つの役割を果たすうえで大切だそうです。

また、より質の良い段ボール箱を作るために心がけていることがあります。段ボールを加工する際に出てきてしまう紙くずである、切りくずや「紙粉(しふん)」を極力出さないようにすることです。

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段ボールひとつひとつに付着してしまう切りくずや紙粉を除去するのは手間のかかる大変な作業。
佐貞商店では印字やカットの精度を高めて紙粉が出るのを抑えるだけでなく、段ボールを職人さんがブラッシングしていきます。ポイントは、軽く、力を入れずに行うこと。力任せに行ってしまうと、余計紙粉が出てしまうからです。

「心を包むだけではいけない、包む心をもって箱を作らなければならない」。

商品を大切に届けるという顧客の心を包むだけではなく、物を包むという心を段ボール箱の作り手側自体が持たなければならないと語る佐藤さん。
すべては喜んでくれる顧客の、そして消費者のために、手間をかけ段ボールを作っていきます。

社員が主体となって働ける職場づくりを!

「文鎮型の会社では人間力が成長しない。仕事の楽しみも減ってしまう」と語る佐藤さん。社長1人が社員全員を引っ張っていく形をとる文鎮型の会社では、社員ひとりひとりが考えて行動することが減ってしまい、成長できない。また年齢を重ねるごとに、教えられる立場から教える立場へと変わっていくことが仕事を続けていく上での楽しみの1つであると語ります。
佐貞商店では、工場長や営業部長といったように、各部署の中で社員の立場を明確にし、経験を積んだ人が、若手を育成できる社内環境を整えています。

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佐藤さんは業務に細かく口を出すことはほとんどありません。相談には乗り、話し合う機会こそ提供はしますが、現場のことはできる限り現場の人に任せています。

そこには、社員一人ひとりが自ら考えて、働ける職場を作っていきたいという強い気持ちがありました。佐藤さんは、社員が言われたことを実感し、「気づき」を得るまで待つことで、次はその社員が後輩に、「気づき」を得られるように接することができると言います。
また個々人が考え、成長し、自らの能力に磨きをかけることは若手育成にも繋がると考えます。
「社員一人ひとりが能力を高められる場所を、そして社員が主体となって働ける場所を提供するのが社長の仕事」と佐藤さんは語ります。

お悩み解決、オリジナル化粧箱!

「これ、これ」と言いながら佐藤さんが持ってきてくれたのは、何やらあまり見かけない形の箱。
ひとつめは多くの折り目が入ったもの。デザインかな、と思いきや、なんと!この折り目には仕掛けがあったのです。

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「内容だけでなくサイズも違う、数多くの種類の商品を包める箱はないか」という要望を叶えたこの箱。中に入れる商品の大きさに合わせて箱の形を変えられるようにするためのものでした。
これは佐藤さんがたまたまほかの案件で尋ねた顧客から、ポロリとこぼれた悩みを聞いたのがきっかけ。なんと翌日には、試作品を相手のところに持って行ったそうです。

ふたつめは黒くてかっこいい、大きな箱。

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こちらは中身に仕掛けがあります。

長年の付き合いのある生花店から、「何か新しいことをしてみたい」という依頼で作られたこの箱は、植木鉢とお酒、そしてノベルティを1つにまとめられるという、非常に珍しい作りになっています。

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どちらも佐藤さんご自身がデザインしたもの。「図画工作は小さい頃から大得意だった」と語る佐藤さん。専門的には学ばず、独学でデザイン技術を磨きました。

きっかけはどちらの箱も、顧客の何気ない一言から。顧客ごとに配送担当者を固定するなど、日ごろから顧客とのコミュニケーションを大切にしている佐貞商店だからこそ画期的な化粧箱を作ることができるのですね。

自分1人が抱えるのではなく、皆で支える会社作りを

「自分がいっぱい、いっぱいになりすぎてはいけない」。

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東日本大震災では、本社のある建物は津波の被害にあってしまいました。幸い離れたところにあった工場は津波の被害を免れ、数日後にはなんとか業務を再開できました。そんな折に、佐藤さんのお母さまは震災の過労とストレスで入院することになってしまいます。
「もし自分まで倒れてしまったら家族も、会社もすべて駄目になってしまう」。佐藤さんは、例えもし自分に何かあっても、しばらくは会社を運営できるようにしなければならないと考えるようになりました。
まずは社長である佐藤さん自身が仕事をしすぎないようにし、社員各々が役割を持ち、運営していけるように気を配っています。社員全員で会社を支えられるようにと、後継者の育成も決意。「気づき」を得られるようひたすら待つことを心掛け、自ら考えられる経営陣を育てていくよう意識しています。大学生のインターンシップの受け入れを行うなど、若い人材の雇用も積極的に行い、会社の未来を考えています。

「段ボール会社って段ボールの紙から作るの?箱の形だけを作るの?」という疑問から始まった今回の取材。0からのスタートで、聞く話、見るものすべてがとても新鮮でした。紙粉の除去が、1枚1枚手作業だったとは驚き!よりよい段ボールを作るため、手間を惜しまず作業をする姿からは、「包む心」を形にしようという思いが感じ取れました。私たちがよく目にする化粧箱だけでなく、顧客の悩みを解決する新しい形の化粧箱を作り出すのも、顧客と密接に関わっている佐貞商店ならでは。私たちの身近に当然のようにありすぎて、なかなかその有難さを実感することのなかった段ボール。そこには、ものを大切に届けたい!という職人さんの気持ちが形となり、表れているのですね!!

能登谷唯華能登谷唯華東北大学2年(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
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有限会社佐貞商店
http://satei-hako.co.jp/
資本金1,000万円
社員数15名(役員2名・社員13名)
住所宮城県塩釜市北浜4丁目3-8
電話番号022-365-3391