身近な大人に聞いてみた はたらくってどういうこと?
ワタシゴト

誰かの心を動かす映像を作りたい!感動という一瞬の輝きのために地道に頑張る。

竹林 美歩 竹林美歩
791 views 2014.10.20

榊枝英二さん(41歳)Fireworks代表取締役

すべての経験が自分の力になる

仙台で映像制作会社「Fireworks」を経営する榊枝さん。
中学校の上級生を送る会で舞台監督をした経験から、「モノをつくりだすこと」の面白さに魅了されたそうです。番組制作を始めたのは高校時代から。専門学校後、夢がかなってテレビ番組の制作会社に入社します。ワイドショー番組を専門に扱っている会社だったため、ドラマ希望だった榊枝さんにとっては少なからずショック。さらに、アシスタントディレクター、いわゆるADの仕事は過酷を極めました。

「底辺の生活だったね」と当時を振り返ります。

主な仕事は雑用。ディレクターのご飯の買い出しや身の回りの世話、番組出演者たちへの細かい資料作りもADの仕事の一つでした。完璧にこなしたつもりでも、ディレクターから毎回文句がでます。
朝5時に朝刊を受け取り、番組で取り上げる話題を新聞数紙から抜き出し。コピーと切り貼りを繰り返し、ひとつの紙にまとめます。「完成した資料を見せたら怒られたよ。ホッチキスの位置から貼り方まで全部」。ディレクターから、小さなことでも見やすさを考えろと教えられました。

「何でも編集なんだよね。新聞の切り貼りでも。紙の上での編集に違いないでしょ」。

いつも気を抜くことはできません。会社に泊まり込みで編集作業や撮影を行うディレクターやADの息抜きのため、お菓子を置いておくと、ディレクターに「何がメインなの?」と聞かれる。「当時はハア?って思ったよ。けど、お菓子の並べ方で自分が何を主張したいか、美しいレイアウトが表現できる」。
理不尽な要求は当たり前の世界。けれど「無駄なことは何一つなかった」と榊枝さんは言います。ひとつひとつの要求を乗り越えていくことで、自然と力が身に付きました。

夢が形になり始めた

その後、フリーのADとなり、「高校生クイズ」「進め!電波少年」などの番組に携わりました。24歳で拠点を東京から新潟に移し、ディレクターの仕事をつかみます。さまざまな地域でディレクターとしての経験を積み重ね、2012年に「Fireworks」を立ち上げました。

現在、社員2人でテレビの企画番組を中心に制作をしています。会社の経営のほか、予算の割り振り、企画考案、撮影、編集などすべて1人で行っています。「上の立場になればなるほど、どんどん追い込まれている」。笑いながら、榊枝さんは続けます。「けれども続いているのは、やっぱりこの仕事に魅力を感じるし、好きだから」。

社名の「Fireworks」の意味は「花火」。
「花火は一瞬の輝き。それまでには見えない何カ月もの工程がある。そこに、映像制作の仕事とつながりを感じた」。視聴者には見えない長期間の作業。つらくても踏ん張れるのは「大きな花火を打ち上げたいから」と右手を握りしめて言います。
かつて自分が感動したように、誰かの心を動かす映像を作りたい。榊枝さんの夢はまだまだ続きます。

【シゴト道具】

アニメのサウンドトラック

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編集部屋では黙々と根を詰める作業が多いので気分転換には必須のアイテム。お気に入りはアニメのオープニングソング。肩の力を抜きたいときはアイドル系の底抜けに明るい曲もよく聞く。

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最近の人に多い「言われたことしかやらない」のはもったいない!自分で自分の可能性をつぶしてしまっているだけです。仕事は常に全力で。さらに+αの働きをすることが大切です。自分の成長につながり、他者からの評価も上がります。Fireworksでは採用面接のときに、「言われたこと以上のことをやっているか」を注意して見ています。5分前行動は当たり前。それ以上のことをしてみましょう。僕は今でも30分前行動をしています。

社会では「理不尽は当たり前」な場合もあることを学びました。理不尽に対して、自分がどれだけ対応できるのか、そして+αの活躍をできることが大切なんですね。「言われたことすらできない」タイプの私は、まず目の前にある仕事をきっちり完成させようと心に誓いました。
竹林 美歩竹林 美歩宮城学院女子大学3年(執筆当時)
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