記者(個人)

つながりを大切に

ショージ ショージ
93 views 2014.03.03

「仙台、宮城、東北の一日でも早い復興を願って」

創業125年の老舗「永勘染工場」(仙台市若林区南染師町)が制作するチャリティー前掛けには、そういったメッセージが込められている。紺や深緑の生地に、「東北復興」「いぎなりがんばっぺ宮城」「宮城復活」が白文字で染め抜かれた50センチ四方の前掛けだ。

▲復興チャリティー前掛けを着ける永野仁社長(左)と、仁輝専務=仙台市若林区南染師町の永勘染工場

震災直後、専務取締役の永野仁輝さん(36)は、被災した宮城の沿岸や福島の悲惨な光景を目の当たりにした。「被災した人のため、なにかしたい。我々にできることはないだろうか」と仁輝専務は考えた。電気が止まり、物流もストップして材料の調達も出来ない状況だった。手持ちの材料で何か作れないか─。そこで生まれたのが復興のチャリティー前掛けだった。

「被災者を支援することが、生き残った私たちの使命」。四代目社長の永野仁さん(64)は熱く語る。

チャリティー前掛けは3月末に完成し、収益の一部が宮城の各被災地域に寄付されることになった。はじめは仙台市の繁華街を中心に販売した。飲食店の人がこの前掛けを着けて仙台を元気付けるためだった。

ところがボランティアが前掛けを着けて、炊き出しなどの復旧活動を行った際、なんと予想とは違う嬉しい結果が生まれた。前掛けのメッセージが被災者の目を引き付ける。被災者からの「いい前掛けをしているね」の声。被災者とボランティアをつなぐコミュニケーションツールとなった。

「私たちが最初想定したことでなく、違う良い結果を招いてくれた。まるで前掛けが一人歩きしているみたいだ」と仁輝専務は言う。

「復旧・復興活動には終わりがくるかもしれないが、まだまだ終わりではない。この活動を続けて、震災でつながった関係を強くしていく」と仁輝専務。創業以来、「人の役に立つ」を理念に掲げてきた同社。震災後、永勘染工場の思いを、この前掛けに小さな形で具現化してきた。

利益だけを求めず、人の役に立とうとする思いが、嬉しい結果を生む。前掛けが人と人をつなぐ。染文字のエールは未来へと続く。

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