記者(個人)

100個の夢 その先に

小林千紘 小林千紘
88 views 2014.03.02

社員全員が、100個の夢を持つ会社がある。仙台市泉区南中山、自動券売機の販売を手がける「パルコ」。食券や施設への入場券などを発行する機械の販売を行っている。

従業員4名の小所帯ながら、宮城県でシェア40%と県内トップの実績を収める。しかし、それでも競争が激しいこの業界を生き抜くために、昨年から始めたのが「夢会議」という試みだ。

月1回のペースで開かれ、社員全員が夢を100個書き出し、共有する。代表の阿部章さん(34)は、その場で出た願いや妄想を、会社の経営に取り入れている。

▲一番小さい券売機の横で熱く語る阿部代表=8月末、仙台市泉区南中山

社員の夢から始まった、新しい事業。「大好きなイラストを仕事にしたい」という、デザイン担当の猪狩悠介さん(21)の思いは、市内のレストランに置かれた1台の券売機で形となった。味気ない外観から、子供向けのかわいらしい雰囲気に変えてほしいという発注者の依頼だった。動物や、オリジナルのキャラクターを描いたイラストは、発注先から「素敵なデザインをありがとう」という反響があった。猪狩さんは夢が形になったことについて、「今まで以上に仕事にやりがいを感じた。もっと頑張ろうと思った」と喜ぶ。

それまでは引き受けなかった仕事だが、これをきっかけに券売機の外観コーディネートは、「デザイン券売機」という名前で事業の柱の1つになった。「これからも、社員みんなの夢を実現する手助けができればいいな」。阿部さんは豪快に笑う。

「仕事もプライベートも本当に充実した人生を送りたい」「自分の作品展を開きたい」「回らない寿司屋で大トロだけ食べる」…。夢会議で出る夢は、達成まで何年もかかる大きなものから、すぐに達成できそうな小さなものまで様々だ。その全て経営に反映できるわけではないが、会議のメリットは少なくない。「自分の考えを見直すことで、より明確な目標が生まれ、モチベーションの向上につながります」と話す中堅社員(41)もいる。そうしたフィードバックによって、一人一人が成長を実感できる。

阿部さんにも、先代である父親から継いだこの会社を、全国規模にしたいという夢がある。「人の成長が、企業の成長につながる。今回のデザインのように社員の発想を生かして券売機の差別化を図り、事業規模を広げたい」

100個の夢の先に、パルコの未来が見える。

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小林千紘
小林千紘
東北学院大学3年
東北学院大学
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