記者(個人)

こだわり 村上屋餅店

佐藤知佳 佐藤知佳
1,126 views 2014.02.28

12席だけの小さな餅屋がある。「づんだ餅」が看板メニューの村上屋餅店は、仙台市青葉区北目町にある。「づんだ餅」を初めて売り出した店であり、今や宮城県の代表郷土料理である。づんだ餅とは「豆を打って作る豆打(づだ)」がなまった事が由来している。

村上屋餅店は客足が10分と絶える事がない。東京や関西の遠方からの客。スーツ姿の男性が一人、修学旅行であろう中学生も来店。常連客の女性(76)は子どもの頃から食べ、「ずっと村上屋のファンです」と話していた。また、他の地元の客は店員さんにくずもちを注文し「以前買って、疲れがとれるくらいおいしい」と微笑んだ。人々の心を癒す村上屋餅店は幅広い年代に愛されている。

伝統あるこだわりの味。づんだのきめ細かさ、鮮やかなみどり色。枝豆のみずみずしい匂いを放ち、口に運ぶと、ほんのりと甘い。こしがあって、噛みごたえのある餅。仕込みは朝早くから始まる。餅、団子を作るのは店主ただ一人。づんだとなる枝豆の薄皮は一つ一つ手で向く。手抜きはしない。また、材料も厳選し、コメは宮城県産ミヤコガネの無洗米、水はアルカリイオン、づんだとなる枝豆は千葉、新潟、北海道野田などから仕入れこだわりがある。
「おいしいは至難の業なんだ」と笑いながら話す店主の手は大きく厚みのある職人の手だった。

▲137年の歴史がある村上屋餅店。
伝統の味に自信を持つ村上康雄さん。

 東日本大震災の際には、2日で営業を再開。餅全種類、五目御飯を作り続け販売した。店には「こんな時甘いものを食べたい」と買い求める客で長蛇の列ができた。客の中では被災地石巻の親戚に届ける為買われる客も居たという。「震災の時はありがとう」と言って、また買いに足を運ぶ客がいる。村上屋餅店は地域に根付き愛され続けている。

 現在の店主は村上康雄さん(59)。先代が亡くなられた後、歴史ある店の看板を下ろすのは忍びないと四代目となった。しかし、康雄さんが引退した後の後継者はいない。そうなると明治時代からの歴史は途絶える事となる。のれんを降ろす事は客も知っていて、「辞めないでほしい」という声も上がっている。

それでも、終わる事も歴史の一つなのか─。その前に、村上屋のづんだ餅を頬張りながら一息つこう。

next_action

この記事を書いた人

佐藤知佳
佐藤知佳
東北学院大学3年
東北学院大学