記者(個人)

きっかけをつくるカフェ

千葉佳奈 千葉佳奈
159 views 2014.02.26

オフィスビルがたち並ぶ、仙台市青葉区大町にひっそりとたたずむカフェ「Schale(シャーレ)おおまち」。白を基調とした落ち着いた店内には、ぬくもりがあふれている。お昼時になると、30代のビジネスマンから60代の主婦まで幅広い層の人々がカフェを訪れる。週3回通っているという60代の女性は、「健康的な料理を食べられることが楽しみ。ゆっくりと本を読むことができてリラックスすることができる」とうれしそうに話す。

 野菜たっぷりの玄米ランチ。宮城の地酒「一の蔵」の酒かすを使ったパウンドケーキや宮城県産のお米を100%使ったロールケーキ。こだわりの食材を使った料理が並ぶ。

 シャーレおおまちは、『ぶれいん・ゆに~くす』(仙台市)が運営する、自閉症や発達障害のある人たちの就業トレーニングの場として2011年3月にオープンした。行うトレーニングは、料理の下ごしらえ、菓子作り、皿洗い、テーブルセッティングなど多岐にわたる。

▲ゆっくりと丁寧にスコーンの生地を引き伸ばす女性=仙台市青葉区大町

最終的な目標は、自立。親もとを離れても、生活できるように就労に向けてのトレーニングを行っている。トレーニングの積み重ねにより、スーパーなどに就職した人もいるという。

 「自閉症・発達障害は1つの個性なんです。そのことを周りの人にも理解してほしいです」と、『ぶれいん・ゆに~くす』の事業担当、福原美樹さん(47)は話す。福原さん自身も、発達障害のお子さんがいる。「自閉症・発達障害の人は、長期記憶のような難しいことができても、運動着の着替えのような簡単なことができない場合が多いんです。そのため、誤解を招くことがよくありました」と振り返る。

 「自閉症を知ってもらいたい」。カフェの片隅には、雑誌や小説などに混じり、自閉症関連の本が並ぶ。何も知らずにカフェに入った人にも、自閉症を知るきっかけにしてほしい。FACEBOOKで日替わりランチの写真をアップするなど、積極的な情報発信も行っている。
「きれいごとかもしれませんが、みんなが幸せに暮らせる社会にしていきたいです」と、福原さんははにかむ。自閉症・発達障害の人たちが前に進むきっかけづくり。そして、周りが理解してくれる社会づくりを。カフェが生み出す空間が、理想の社会をつくるきっかけとなるだろう。

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この記事を書いた人

千葉佳奈
千葉佳奈
法政大学3年
法政大学経営学部経営学科3年