記者(個人)

虹のおかしやさん

配川瞳 配川瞳
223 views 2014.02.26

 空に浮かぶ「虹」は、色も多様で境目も曖昧。特徴が人によって様々な自閉症はよく「虹」に例えられるという。
 
 ブランド名は「虹のおかしやさん」。宮城県産米粉を100%使用したもちもちのロールケーキや地酒「一ノ蔵」の酒粕を使ったイチジクのパウンドケーキ。こだわり抜かれた食材をつかった美味しいスイーツが食べられるのは、仙台市青葉区大町にあるカフェ「schale(シャーレ)おおまち」だ。
 

▲真剣なまなざしで、スコーンの生地を引き伸ばす女性
=8月28日、仙台市青葉区

 自閉症や発達障がいがある男女10人が、就労トレーニングの場として働く。お菓子作りや皿洗い、料理の下ごしらえなどを通し、社会に出て、働いてくための訓練の役割を果たす。
 
 「自分が作ったお菓子が、『おいしかったよ』ってみんなに言われることがうれしい。いつか、街のお菓子屋さんで働きたい」。18歳の女性は、ほほを赤らめながら、少し恥ずかしそうに話す。

 開業してから10日後、東日本大震災が起きた。日々の変化に敏感な自閉症の人のために、出来る限りはやく日常を取り戻そうと3日後にはカフェを再開した。
 
 カフェを運営する『ぶれいん・ゆに~くす』(仙台市)の事業担当、福原美樹さん(47)は、「なにがあっても、常にここにありつづけることで、お客さんにも、いつも同じ安心感を届けたい」と語る。震災から間もなく2年半。障がいがある人だけでなく、そこに集うお客さんにとっても「ほっとできる空間」を目指している。
 
 「虹のおかしやさん」の評判を頼りに、カフェに人が集えば、調理場で働く障がいがある人の姿を見ることが出来る。「まずは、知ってもらいたい」。発達障がいの息子を持つ福原さんは訴える。カフェの片隅にそっと置かれた、自閉症に関する本は、そんな願いの現れだ。
 
 「虹は、希望のシンボル。障がいがある人と社会をつなぐ架け橋になれば」と福原さんは語る。ほっと一息。おいしい香りに誘われて、互いの距離が近づくとき、少しずつ何かが変わり始める。

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この記事を書いた人

配川瞳
配川瞳
慶應義塾大学3年
慶應義塾大3年 神奈川県出身