記者(個人)

日本の3時を取り戻す

橋浦ほのか 橋浦ほのか
106 views 2014.02.24

「すすーっ」と、宮城県にお茶をすする音が響き渡る。2013年3月18日午後3時、宮城県内を中心とした100社・団体に緑茶と和菓子が送られ、一斉にお茶を飲む「日本の3時プロジェクト」が実施された。
 
震災以降、復旧・復興活動で社会全体が疲れ気味の今、仙台に本社を置く井ケ田製茶では「3時のおやつ」が必要なのでは…という発想から、「日本の3時プロジェクト」が企画された。

このプロジェクトの意図は、みんなに休んでほしいという想いの他に、震災前から抱える“お茶文化を広げたい”という想いがあった。

「若い人に、急須で入れたお茶を飲んでほしい」。常務取締役 今野順子さん(59)は切実な想いで語った。生まれた時からペットボトルが存在し、「お茶=冷たいもの、買ってくるもの」と思っている若者が増え、若いうちからお茶を飲む習慣が減ってきている。

▲お茶を囲んで従業員と和やかに語り合う今野順子さん(右)=仙台市青葉区

同社では、お茶以外に抹茶クリーム大福、抹茶ソフトクリームなどの和菓子も販売しており、味付けも若者向けで、まずはお茶に馴染んで欲しいという想いから開発したそうだ。その成果として、店舗は老若男女問わず多くのお客で賑わっている。

また、若者だけではなく、会社でも昔は午後3時になれば休憩を取る、女性社員がお茶を入れるという習慣があったが、今はそれがほとんど見られなくなっている。

「お茶を通して、みんなでだんらんしてほしい」。同社はお茶がなかなか浸透しにくい現実と向き合いながらこの信念を曲げずに日々挑戦し続けている。

「日本の3時プロジェクト」は、今年の秋にも行われる。募集がネットでかけられるため、春の企画では、プロジェクトの情報は仮設住宅や被災者コミュニティにはほとんど届かなかった。「被災者の方々からの応募があれば、是非届けたい」と今野さん。また、子供や学生からの応募も歓迎している。

今年の秋、またどこかでお茶をすする音が響き渡る。「3時のおやつ」を通して、お茶を片手にだんらんする風景が一つでも多くの地によみがえることを祈る。

next_action

この記事を書いた人

橋浦ほのか
橋浦ほのか
宮城大学2年
宮城大学
この人が書いた記事