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仙台で37年!ふわとろたこ焼きの秘密「かぜの子」

鎌田 弘恵 鎌田 弘恵
4,514 views 2016.07.14
鎌田 弘恵 鎌田 弘恵 宮城教育大学(執筆当時)
辺りがすっかり暗くなったある日の夕方、地下鉄薬師堂駅を降りて10分ほど歩いていくと、人だかりができているお店が見えてきました。たこ焼きや焼き鳥、焼きそばを販売している「かぜの子」が創業37周年記念セールを行っていたのです。なんと、全品37%オフ!行列に加わり待つこと30分。たこ焼き目当てで行きましたが、香ばしい食欲をそそるいい匂いに、焼きそばまで買ってしまいました。熱々のたこ焼きと焼きそばをようやく手に入れ、家に帰ってゆっくり食べよう……なんて無理!たこ焼きをぱくりと一口。
かりっふわっとろっ。
創業37周年のおいしさの秘密を取材してきました。

エス・ケー・シー(かぜの子)ってこんな会社

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たこ焼き、焼き鳥、焼きそばを販売している「かぜの子」は、有限会社エス・ケー・シーが経営しています。仙台市内に現在、中田店、長町店、宮千代店の3店舗があります。
創業は1979年5月18日。従業員は7名、パート・アルバイト23名です。
取材で訪ねたのはかぜの子中田店の裏にあるセントラルキッチンと、かぜの子長町店です。
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JR南仙台駅を降り、目の前の大きな交差点を右に行くとほどなくしてあるセントラルキッチンでは所長の手嶋茂さん(44)に話をお聞きしました。

その後、JR長町駅から商店街へ徒歩5分したところにあるかぜの子長町店に行くと、
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「いらっしゃいませ」と明るい声。社長の成田敏彦さん(63)が、たこ焼きを焼きながら迎えてくれました。

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たこ焼きには企業秘密の粉を使っています。油も一般的なたこ焼き用の油ではなく、独自で配合した油。成田さんが会社を立ち上げた当時は、大坂に通い一晩で20種類も食べ歩いたこともありました。今でも年に3回は大坂に行き、研究を続けているといいます。

仙台の企業魅力

仕込みはすべてセントラルキッチン!かぜの子、縁の下の力持ち。

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「かぜの子」の3店舗で販売しているたこ焼きや焼き鳥、焼きそばの材料はすべて所長の手嶋茂さんと、3名のパート従業員がセントラルキッチンで仕込んでいます。セントラルキッチンは30年前に出来ました。毎日行う下ごしらえはすべて手作業!
午前中いっぱいかけて準備した材料は、開店の午後4時に間に合うように手嶋さんが各店舗に届けています。

まずは、鶏肉や野菜、タコを切っていきます。焼きそば用の野菜やタコは3食分に分けて袋に詰めます。
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切った鶏肉は決まった量を串に刺して焼き鳥用に。
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念のために量っているものの、感覚でほぼぴったりの重さにできるそう。

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簡単に見えますが、肉を串に刺すのは大変です。17年間働くベテランは新人よりも1本にかける時間が3分の1だそう。新人も1年すると速く刺せるようになります。
切り方や串の刺し方にも作った人の個性が出ます。売られている串を店頭で見て誰がつくったのか分かることもあるのだとか。
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セントラルキッチンでは、以前は機械を使って鶏肉を切っていました。しかし、機械で切ると肉がつぶれ、10%程度は「焼き鳥」にできず「つくね」にしていました。また、機械のメンテナンスにも1時間取られてしまいます。
効率をあげるために、手で切る今のスタイルになりました。

新鮮な材料を冷蔵で管理。

たこ焼きや焼きそば用のタコや野菜は新鮮なものを仙台中央卸売市場で仕入れています。社長の成田さんは、かぜの子のたこ焼きを毎日食べているそう。「自分でも食べたいと思うものでなければお客さんには出せない」と言います。

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生で仕入れ、そのままお刺身として食べても美味しいタコ。「良いものをあまり加工しないで提供した方が健康にもいいのでは」と、考えています。
鶏肉も生のままで仕入れています。
本来、養鶏場では冷凍して出荷するそうですが、かぜの子では冷凍せず送ってもらっているそう。
冷蔵であれば、いつから保存していたのか分かるからと成田さんは言います。

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食材の発注はセントラルキッチンの所長、手嶋さんの担当です。賞味期限を考え、仕入れる量を計算しています。曜日や行事で変動しますが、過去のデータから分析し、セントラルキッチンで仕込む本数まで決めています。
お客さんからは、県外にもかぜの子の店を作ってほしいと言われることも。
どの店舗でも同じように新鮮なものを新鮮なままでお客さんに提供するためには、今のところ3店舗がベストな状態だと言います。「セントラルキッチンで切って、その日のうちに届けて。だから、目の届く範囲に店を置いておきたい」と手嶋さんは話してくれました。

お客さんの声に応えるサービス精神

かぜの子ではサービス精神やお客さんのリクエストがきっかけで生まれたメニューやセールがあります。

焼きそばには肉が入っている。いえいえ、かぜの子の焼きそばに入っているのはタコです。
以前は豚肉を使っていましたが、お客さんの多くが肉抜きの焼きそばを注文しました。豚肉は焼きそばだけに入っていたため、肉が残ってしまうことを避けるために、たこ焼きにも入っているタコを使うようになりました。

焼き鳥で人気がある種類は、皮です。皮も食べたいけど、他も食べたい…。お小遣いでやりくりする学生は何本も買うことができません。
でも、安心してください。1本で皮も肉も味わえるのが、かぜの子のねぎま「ねぎ刺し」です。
肉・ネギ・皮・ネギ・肉と、間に皮も挟まっているのが特徴です。1本で満足できるようにと考えました。

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たこ焼きでは、マヨネーズの味をあっさりめにして塩コショウやソースをかけても味が濃くなりすぎないようにしています。
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今年5月18日で創業37年を迎えたかぜの子。37周年にちなんで全品37%オフのセールを行いました。5月18日一日限りのセールの日は、どの店舗も夜の12時まで注文が途切れないほどの賑わい。
創業セールは創業30周年の時から。先着30名、たこ焼き30円セールが始まりでした。
店頭にお客さんがたくさん並ぶ様子が嬉しく、周年祭は赤字を覚悟してでも続けたいと話してくれました。

取材後、またたこ焼きと焼き鳥を買い、もちろん家に帰り着くまで待てずに食べました。朝から夕方まで、1日がかりで取材させていただいたので「この焼き鳥、午前中にセントラルキッチンでみたんだ!」と食べている時、感動しました。
成田さんは「辛いこと、大変なことは面白い」と言いました。現在私は合唱のサークルに所属しています。簡単な曲はすぐに歌うことができ、楽しいです。しかし、すぐにその曲には飽きます。難しい曲に挑戦すると、肩に力を入れないようにしたり、息の使い方をお腹で調節したり自分なりに試行錯誤します。そして、曲がだんだん形になってくると嬉しくなります。曲にも飽きず、思い出すとまた歌いたくなりました。
37周年のおいしさの秘密。取材を通して知ることができました。

鎌田 弘恵鎌田 弘恵宮城教育大学(執筆当時)
文章:鎌田弘恵 宮城教育大学 3年
写真:高橋夏海 東北福祉大学 4年
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鎌田 弘恵