テラス

【いぐするテラス】株式会社石渡商店 石渡久師さん

多田花野 多田花野
318 views 2015.12.04
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食を通して恩返しをしたい

11月20日の「いぐするテラス」は、株式会社石渡商店の石渡久師(いしわたひさし)さんにお話を伺いました。石渡商店は気仙沼にある昭和32年創業のフカヒレ専門店。「気仙沼の人に恩返しをしたい」と熱く語る3代目代表取締役専務の久師さん。石渡商店の震災後の取り組みや、気仙沼の将来にかける希望を話してくださいました

フカヒレで商売を始めたきっかけ

昭和32年の当時、気仙沼の魚市場では「フカヒレ」は商品価値がないと思われ廃棄されていました。久師さんの祖父(石渡商店の初代社長)はその実態を知り、「ただ捨てられてしまうフカヒレに着目、付加価値を付けて商品にすれば商売ができる」と確信。廃棄されるフカヒレを拾い集めるため、勤務していた神奈川県の食品メーカーを辞め、気仙沼に引っ越してきたのが、石渡商店創業のきっかけです。

会社の先頭に立っていた父

「石渡商店の生みの親は祖父で、長年会社を引っ張ってきたのは父親で二代目社長の正師(まさし)さん」だと久師さんは言います。震災直前まで、久師さんと父親の正師さんは気仙沼の工場で一緒に働いていました。

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東日本大震災の際、久師さんは商談の為に上海にいました。奥さんから「津波に追いかけられている」という電話で地震があったという事を知ったそうです。
震災の翌日、あらゆる手段を尽くし帰国した久師さん。長い年月をかけて工場を大きくしてきた父親の正師さんが、目の前の全壊した工場を見つめ、肩を落としていました。久師さんはそんな父の様子を見て、「このままでは仕事は再開できない」と思ったそうです。久師さんはその日のうちに弟と話し合いをし、「震災から工場を復活させた兄弟として、石渡家の名前を後世に残そう」と決意。震災から一週間後、久師さんは石渡商店を再建したいという意志を父親の正師さんに伝えました。

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一からのスタート

震災で工場は全壊、資金もない。顧客情報も津波で流され、残っているのは従業員と自分達だけ。3代目の社長になった久師さんに重い課題がのしかかります。「津波に負けてたまるか」と職員みんなで汗を流し、沢山の人から義援金の支援もあり、徐々に工場を再建。2012年10月には新工場を建てることができました。

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気仙沼の素晴らしさを多くの人に伝えたい

久師さんは「気仙沼には磨けていない原石が沢山ある」という祖父の言葉を胸に、フカヒレ以外の商品開発にも取り組んでいます。世の中の食のトレンドや、トップシェフの加工技術を学ぶため、海外にも足を運び、これまで沢山のシェフと商品開発などのコラボレーションをしてきました。

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「気仙沼は、牡蠣やホタテなど海の幸が豊富なこと有名ですが、山の幸も美味しいということはあまり知られていないんです」。まだ多くの人に知られていない気仙沼の魅力を「食」を通して伝えたいと意欲的な久師さんは、気仙沼の意外な一面も教えてくれました。

取材を終えて

今回のいぐするテラスには、宮城教育大学、東北学院大学の学生、タイからの留学生が参加しました。石渡商店の人気商品「気仙沼のオイスターソース」のオススメの食べ方を教えてもらうシーンでは、「ご飯に混ぜたり、トーストにかけたりして食べる」との回答に、参加した学生は「美味しそう」と口々に言っていました。
イベント終盤では、オイスターソースがもらえる、じゃんけん大会が開催されました。予想外のサプライズに、会場は盛り上がっていました。じゃんけんで負けても、仙台駅構内にある石渡商店の売店で販売しているフカヒレ角煮まん引換券の特典もあり、参加学生は皆大喜びでした。久師さん、ありがとうございます!

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私が印象に残ったのは「現在ある工場は沢山の人の支援によって出来た工場なので、気仙沼の人、全国の人に恩返しをしたかった」という久師さんの言葉です。今回のいぐするテラスでは久師さんの気仙沼に対する愛と、気仙沼の人々を大切にする気持ちを強く感じました。私も地元・古川が好きなので、これからも地元を大切にしようと思いました。やる気で満ちている久師さんをはじめとする、石渡商店の今後の展開を楽しみにしています。

文章:多田花野(東北学院大学 1年)
写真:多田花野(東北学院大学 1年)
写真提供:株式会社石渡商店

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この記事を書いた人

多田花野
多田花野
東北学院大学1年
とにかく楽しい事が大好きな19歳。名前の読み方は、ただかのです。
サバサバしていて、笑いのツボが浅いとよく言われます。
皆さん私のことを笑わせてください。
何事にも果敢に取り組みたいと思います!