テラス

クレープ屋だったIT企業社長「コー・ワークス」淡路義和さん

平田 真莉子 平田 真莉子
821 views 2015.11.03
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クレープ屋だったIT企業社長

10月13日火曜日のいぐするテラスは、株式会社コー・ワークスの代表取締役社長、淡路義和さんがゲストです。コー・ワークス、総務部/情報提供サービス事業部の吉田圭一さんも、取材をしながら一緒に参加してくれました。
淡路さんは東北学院大学を卒業し、IT企業に就職。クレープ屋で働いた後、再びIT業界に戻り、株式会社コー・ワークスを設立しました。なぜ一度IT業界から離れたのでしょうか。

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本当にやりたいことを探して

「俺は社長になります!」。
東北学院大学を卒業し、大手IT企業に就職した淡路さんは、新人の時に冗談半分で宣言しました。入社して半年が経ち、地方への転勤が命じられ働いていくうちに少しずつ違和感を覚え始めます「お客さんと接する環境が少なく、新しい考え方や本質的なことよりも、慣例や既存の方法に重点を置く企業でした」。仕事に取り組む気持ちがどんどん下がっていく自分に気づいた淡路さん。「人が商品のこの業界で、モチベーションの低下は致命的です。なぜモチベーションが下がるのか、本質的に組織としてどうあるべきか…考えました」。冗談で言った新人の言葉を思い出し、「自分の考えを生かした組織を作りたい!」と一念発起し退職を決意します。

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「勤めていた会社は、デスクワークがほとんどでした。ですから、お客さんと直接会える仕事はものすごく新鮮でたくさんの気づきがありました」。ワゴン型の車で、クレープの移動販売を始めます。東北各地や、時には関東から声が掛かることもありました。お客さんとの距離が近い移動販売は、相手の反応がすぐに分かるので、求められているものは何かを常に考えて行動するようになったと言います。接客から収益計算まですべての業務を行い、事業運営、経営のノウハウも身に付けていきました。

社員が能力を発揮できる職場を

 クレープ屋を始めて1年経った2007年、システムエンジニアに復帰します。小さな企業ながら経営執行役を任され、様々な人の支援を受けながら、IT業界での経営経験を積んでいきました。

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「お客さんに寄り添い、新しいサービスを提供できる企業をつくりたい」。2009年、32歳で独立し、株式会社コー・ワークスを設立します。
コー・ワークスは、システム開発事業、PS事業、エンベデッド事業、ITコーディネート事業、情報提供サービス事業の5つの事業を行っています。「ITコーディネート事業」では、経済産業省推進資格の「ITコーディネータ」を持ったIT経営コンサルタントが、ITの利活用という視点から経営者の立場に立ち支援することで、経営課題を解決する手助けをします。そこで出た課題を具体的に解決するのが「システム開発事業部」「エンベデッド事業部」「情報提供サービス事業部」です。「システム開発事業部」は、お客さんにとって必要なシステムを、必要なだけ構築します。「エンベデッド事業部」は、組み込みシステム開発やハードウェアの試作設計・製造までを行うことが出来、事例として製本機の試作品設計・製造や、ICカード情報読取機の製造・販売、組み込み開発用教材の開発などがあります。「情報提供サービス事業部」は、ホームページ制作等、主に広告・宣伝や販促の課題解決をする事業を展開しています。どの部門においても得意分野を持つ社員が、最大限にスキルを活かすことで幅広いニーズに応えているのです。

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▲実績紹介(http://www.co-works.co.jp/portfolio.php)

コー・ワークスでは、社員一人ひとりの声も大切にしています。「睡魔と闘いながら仕事をするよりも、短時間でも寝て頭をリセットしたほうが仕事の効率はあがる」。淡路さんが考えた勤務中の仮眠の採用をはじめ、社員にとっての働きやすさと、意欲を後押ししていきたいと考えているそう。「社員には自分のやりたいことにどんどん挑戦していってほしいです。ずっとうちの会社で働こうと思うよりも、新しく起業してもらいたいです」。

新しいチャレンジ

総務部/情報提供サービス事業部の吉田圭一さんは、コー・ワークスで働きはじめて4年目。前職は販売業をしていました。「長い付き合いで、会社でもついついニックネームで呼んでしまいそうになります」と淡路さん。吉田さんとは、高校時代からの同級生です。大学も同じで、共通の趣味である音楽がきっかけでさらに仲良くなったのだとか。親友の淡路さんから誘いをうけたものの、今までと全く異なるジャンルのIT業界に不安もあった吉田さん。コー・ワークスに入って「会社が社員一人ひとりに耳を傾け意見を尊重し、柔軟に対応してくれることに驚きました。職場の雰囲気も良く、周りに支えてもらいながら毎日新しいことに挑戦しています」と、笑顔で教えてくれました。

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自分の強みを見つけること

「新しい時代を生きる人に、必要なことは『自立』です」と淡路さんは言います。「自らの強みを生かし他者を助けること。また、自分の弱みを素直に受け入れ他者に補完してもらうこと」が自立の定義と考えているそう。コー・ワークスでも、社員がスキルを最大限に活かすことで、幅広い業務を手掛けることができます。「まずは、武器になる強みを見つけてください。誰かに『ありがとう』といってもらえる中に、強みを見つけるヒントがあるはずです」
と淡路さんは話します。

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参加者の声

参加した学生は青葉短期大学、東北大学、東北学院大学の学生14名。「IT企業」と聞くと、働く人も興味を持つ人も男性が多いイメージを持ちがちですが、参加者は半分以上が女性!「今まで、関わりが少なかった分野の話が聞きたくて来ました」という声が多かったです。淡路さんの経歴に目を丸くする学生も。「働き方って、人それぞれたくさんの選択肢があるのだと思った。働く大人から話をきいて、新しい選択肢を見つけていきたい」と、話す参加者もいました。

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取材を終えて

取材を通して、「自分にあった働き方」は人それぞれに、あるのだと思いました。今までは、仕事に対して長く働くことを重視した考え方を持っていました。淡路さんからお話しを聞いて、ひとつの会社で長くつづけることの他にも、自分がやりたい仕事を追及することも大切であることに気付きました。ぶれない目標があれば、目標を達成するために転職のリスクを回避する方法や、転職後にすべきことが見えてくるし、やりがいを感じて仕事と向き合えばネガティブにならずに取り組むことができるのではないかと思いました。
私は大学に通っていますが、働いている同世代と比べて、社会と関わる時間が少ないなと感じています。アルバイトやいぐする仙台の活動の時間を大切にしながら、もっと働く大人の話を聞き、社会のしくみを知ることで自分にあった「働き方」を見つけようと思いました。

画像提供:株式会社コー・ワークス
文章:平田真莉子(東北学院大学2年)
写真:平田真莉子、いぐする仙台 安部静香

いぐするテラス参加者の感想

仙台青葉学院短期大学 日下 萌 さん

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淡路さんが起業されたきっかけは、自らの思いを実現したいと考えたからだそう です。以前の会社は大手企業で、ダメだと思う部分が会社にあっても指摘できな かったり、やりたいことがあってもそれを実現出来ないこともあり、だからこそ 自らの意見を発信したいと強く思ったそうです。
起業した今では、「自分の意見が受け入れられるかは分からないが、意見を発信 することが自分の役目」であり、自分から動き、従業員の意見も取り入れつつ、 仕事をしているとのことでした。
以前の私は自分の意見やアイデアを否定されることが怖くて、思いを口に出すこ とがなかなか出来ずに、アイデアを思いついても自分の中にしまっていることが 多くありました。今回のお話を聞き、アイデアや意見も様々で、思いを受け入れ てもらえる機会もあるのだと強く感じ、これからは積極的に思いを口にだそうと 決意しました。
日常生活の中で、就職のことや会社のことをこんなにも身近に聞く機会は少な く、いぐするテラスに参加して本当に良かったと思いました。

仙台青葉学院短期大学 N.Nさん

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淡路さんは「辛いときや大変なときもあったがそれがモチベーションになる」と お話していました。過去の苦労した経験をプラスに捉える姿勢がとても印象的で した。それは人材育成の面にも繫がり、社員一人一人の魅力に気づき、伸ばして いく関わりを大事にしているのだと感じました。今までの私は、辛いときにプラ スの考えが持てていなかったので、まず自分の考えから見直していきたいです。
また「経験から学ぶことが大切」というお話から、経験をして失敗を繰り返さな いようにする姿勢が大切だと改めて分かりました。経験から学習する意識を常に もち、普段の生活の中で生かしていきたいです。
今までは文章から企業情報を知ることはあっても、実際働いている人からお話を 聞く機会は数えるほどしかありませんでした。今回、社会人のお話を聞くこと で、仕事を身近に感じています。今までは自分にあった企業をぼんやりとしかイ メージできていませんでしたが、今は自分が持っている強みを生かすことのでき る職業につきたいと、強い思いを持つことができました。参加して良かったです。

仙台青葉学院短期大学 千葉こずえさん

私はひとつの企業で長く勤めたいと思っていたので、大手企業を辞め自分で移動 販売のクレープ屋を起業するという選択に、行動力があってすごいと思いまし た。しかし淡路さんのお話から、起業することで大手企業では出来ない自分がや りたいことができ、楽しいことが伝わってきました。
その1つに、淡路さんの会社ではお昼寝を許可しているというものがあります。 それも淡路さんの寝た方が効率が良いという考えが元となっており、自分の意見 を反映しやすいのが中小企業の良いところだそうです。決められた事をして働く だけではなく、自分の考えを大切に働く姿はとてもかっこいいと思いました。
淡路さんの「起業するときにお金がかかってもとんとんで経験すればプラス」と いう言葉がとても印象に残っています。今の会社の経営のいろはは、クレープ屋 をやっていたことで学んだそうです。私は面倒だったりすると出来るだけやりた くない、楽な方を選びたいと思っていました。しかし、将来本当にやりたいこと が出来るよう、今しかやれない経験を色々して、自分の力にしていきたいと思え るようになりました。
会社の規模や名前に左右されないで、自分の本当にやりたい仕事はなにかを考 え、今のうちに働いている方のお話を伺ったり、アルバイトやボランティアを積 極的に行って、学生である時間を上手に使い将来に生かせるようにしたいです。

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この記事を書いた人

平田 真莉子
平田 真莉子
東北学院大学(執筆当時)