より多くの人に見やすい商品を生み出し顧客のニーズに応える「本田印刷」
本田印刷株式会社って、こんな会社!
本田印刷はさまざまな企業の工場が密集している仙台市若林区六丁の目にあります。
創業は1952年。地元の学校や企業の印刷物を製作しており、大半がリピーターの顧客だそうです。
今回お話を伺った常務の本田直子さん。「さっきまで作業をしていたから動きやすい格好をしていたの」と気さくに笑いかけてくれました。
顧客に合わせた提案型営業
本田印刷では「提案型営業」に取り組んでいます。提案型営業では、顧客の事業や商品に合わせた印刷物を考えプロデュースします。これまでは顧客からの依頼を受けてから作るいわゆる「御用聞き営業」でした。しかし、ウェブサイトなどデジタル業界の発展により、紙媒体の印刷業務が減少している現状に危機感を覚えたそうです。「お客さんに自分たちからどんどん提案して仕事を創ろう」と試行錯誤を重ねて、営業スタイルの一新を図っています。
社員一人ひとりの提案力を底上げするため、昨年7月からは営業部門の社員向けの研修に力を入れています。約半年かけて、専門家を招いた勉強会やワークショップを開きました。「お客さんが欲しいと思う半歩先を提案してビジネスサポーターとして信頼を得てほしい」と本田さんは考えています。
障がい者やお年寄りも見やすい印刷物
本田印刷は、障がい者にも見やすい印刷物づくりをしています。例えば、大きく日付が書かれたカレンダーは「3」と「8」、「ブ」と「プ」など形の似ている文字がはっきり読み取れます。色覚障がい者にとって識別しづらい赤色や緑色は避け、薄い黄色や青色などを使っています。見やすいカレンダーは高齢者の方にも好評だそうです。1ページごとに色を変える事で「暦をめくる新鮮感も楽しんでもらいたい」と言います。
本田さんは「分かりやすい印刷物とは設備・機械の問題じゃなくて作り手の意識次第なんです」と話していました。
より多くの人に情報が見やすいように「デザイン」「文字の使い方」「色の使い方」などに配慮して印刷物などを作ることを「メディアユニバーサルデザイン(MUD)」と呼ぶそうです。本田さんは分かりやすい印刷物を製作する知識・技術を習得することを目的にした「MUDアドバイザー」の資格などを自ら率先して取得しました。顧客の要望に合わせて、MUDを取り入れた商品づくりのアドバイスができるこの資格を活かして、もっと多くの人に愛される印刷物を生み出したいと考えています。
地域とのつながりを大切に
本田印刷は、地域とのつながりを大切に考えています。これまでパンフレットやウェブページの製作に携わった取引先の企業はもちろん、卒業文集や生徒手帳などを手掛けている地元の学校、紙の仕入れを頼んでいる会社などとの協力が欠かせません。
「地域のいろいろな団体と手をつなぎながら商売をしていきたい」と本田さんは協力の大切さを口にしていました。
今後は企業だけでなく、大学生のインターンシップ生と協力した新たなプロジェクトを考えているそうです。それがこちら!このチラシ、一見普通のものですがスマートフォンをかざすと社長の本田恭一さんが登場!
広告が一瞬で動画に変わる「ARサービス」という新技術です。事前に情報をネット上に登録しておくと、広告を専用のアプリでスキャンするだけで動画などを見ることができます。年賀状や名刺に自分で撮った動画を載せるなど、新しいサービスの可能性が広がるとか!「スマートフォンの操作に慣れている大学生に新しいアイデアをどんどん出してほしい」と本田さんは期待を寄せています。
1冊の本を通じた地域貢献
「会社の自慢はなんですか?」という質問に対し、本田さんは1冊の本を取り出しました。歴史学者の飯沼勇義さんが書いた「仙台平野の歴史津波」です。これまでの歴史から、巨大津波が仙台平野を再び襲う可能性を警告した本は、かつて絶版となりました。しかし、東日本大震災を機に改めて本を求める人が増え、本田印刷で再版を手がけることになったそうです。
「『この本を本田印刷さんで再版してくれてありがとう』と言われたときは本当にうれしかった」と言う本田さん。「私たちはこんな形で微力ながらも、社会や地域の役に立っているのかも」と笑顔を見せました。
資本金 | 4,800万円 |
住所 | 宮城県仙台市若林区六丁の目西町3-5 |
電話番号 | 022-288-5231 |
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