オリジナルパッケージでおいしさと“作り手の思い”を包む「湯浅商店」
湯浅商店って、こんな会社!
湯浅商店(仙台市太白区)は創業1975年。今年で39年目を迎えました。包装資材とひと口に言っても、トレーや袋のほか、商品に貼るラベル、ギフト用パッケージ、テープなど商品はさまざまです。社長の松永政治さんと奥さん、パート従業員の少数精鋭で業務をこなします。
「うちの売りは注文内容に合わせたオーダーメイド。よりこだわった包装商品を製作しています」と松永さん。
既製品も扱いますが、特にオリジナルのデザインを得意とし、今までに取り扱った商品はなんと1万点以上!塩釜産干物のギフトボックスや、亘理のブランドイチゴの梱包、イチゴで作ったワインの包装などを、商品の価値をより高めるためのオリジナルのパッケージを多く手掛けています。
顧客のこだわりを形にするオリジナル包装
「会わせたい人がいるんです」
松永さんにそう言われ、取材当日は海の香りがするJR東塩釜駅で午前10時に待ち合わせ。向かったのは、塩釜市の干物加工会社「間宮商店」です。塩釜の港に上がった魚を厳選し、保存料や着色料を使わない完全無添加の製法で昔ながらの干物づくりをしている気骨ある会社です。
湯浅商店の創業当時からのお付き合いなのだそう。ギフトボックスや商品ラベルなど、オリジナルデザインを中心に7~8種類ほどの商品を卸しています。
会わせたい人とは「干物伝道師マミヤ」こと、専務の間宮徳昭さんです。
「湯浅商店さんは、うちの厳しい条件にも合わせてくれるし、こちらが言わんとしていることを汲み取ってくれる」。間宮さんは40年も続く付き合いの理由をこう話します。
最近もロングセラー商品である干物セット「汐の華」のギフトボックスをリニューアルしたばかり。
「シンプルなのに高級感のあるデザインで、お気に入りなんです」と間宮さん。
「注文が多くて大変だった」と松永さんは笑います。「でも、何度も話を詰めて、間宮さんが納得のいくものを提供できて本当によかったです」と満足気です。
間宮商店ではラベルにもこだわりがあります。熱によって印字される、レシートと同じ原理の材質を使い、商品ごとに大きさやデザインなどを使い分けています。
3つの「顔」で企業と消費者をつなぐ!
松永さんには3つの「顔」があります。
1つ目は、包装資材商社の社長の顔です。
今までに手がけたオリジナル商品は1万点以上。最近では、太白区にある豆腐店の依頼で、油揚げのパッケージをリニューアルさせました。
デザインを一新するにあたり、油揚げ自体の見直しや、何が魅力かなどヒアリングをしっかり進め、商品の特徴や魅力が伝わりやすいものに変更しました。リニューアル後は、なんと売り上げ数が5倍に増えたそうです。
2つ目は、塩釜仲卸市場の案内役です。
前列でブルー×イエローの箱フグ型の帽子をかぶっているのが松永さん。サービス全開です!
市場ツアーを企画した塩釜のNPO法人から見込まれ、観光客に市場の楽しみ方を伝えています。場内には松永さんの知り合いが多く、見学ツアーは大好評。これまではボランティアでしたが、来年1月からNPO法人と共同で、正式なビジネスとしてスタートします。
3つめは、取引先の「第三の目」になることです。
顧客企業の悩み事や困り事を解決するために一緒に打開策を考えたり、取引先の企業へ提案したりして、第三者の視点からアドバイスしています。取引先の経営が軌道に乗ることで、湯浅商店も利益を伸ばしていくことが出来る。
「だからこそ、取引先で問題があったらそれを一緒に解決していきたい」と松永さんは話します。
塩釜の海の名産品を集めてネットショップで販売
松永さんは、先代社長であるお父さんに連れられて幼い頃から塩釜仲卸市場に通い続けています。
「お世話になったより塩釜を盛り上げて、恩返しがしたい」との思いから、湯浅商店と取り引きのある会社の商品から選りすぐった逸品を集め、インターネットショップ「塩竃市場」で販売しています。
商品は「金華サバ開き干し」「銀タラみりん漬け」などの干物が中心。実際に干物が作られている工場まで出向き、作業工程を確認し、松永さんが「本当においしい!」と感じ、何としてでも薦めたいと思った商品のみを厳選。さらに、信頼を寄せているグルメな知人5人に試食してもらい、5人中4人が「おいしい」と認めたものだけを出品しています。
その中には間宮商店の「サンマの開き」もあります。
「実は私、魚が嫌いだったんです。生臭いところがどうしても…。でも、間宮商店のサンマは生臭くなくて、本当においしく食べられた。私のように魚嫌いな人にもぜひ食べていただきたいと思ったんです」と松永さん。
私も帰ってからお土産にもらった「サンマの開き」をいただいたのですが、生臭さもなくて魚への価値観が180°変わるようなおいしさでした。骨もほとんどなくて小さな子どもからお年寄りまで食べやすいだろうなと感じました。
何よりも現場主義!!
企業として「いいものを販売する」のは当たり前のことです。
湯浅商店が目指す「いいもの」とは、生産者の思いが伝わり、消費者の心が動いて手に取ってしまう「パッケージ」のこと。そのために生産者がどんな工夫をして他社との差別化をはかっているのか、工場や作業工程の「現場」に行って確認しています。
「現場」を見学
間宮商店もまた、湯浅商店が大切にしている「現場」のひとつ。
特別に干物づくりの現場を見学させてもらいました。
白衣とマスクで加工場へ!
新鮮なサンマがどっさり。
鮮やかな手さばきで内臓を取って開きにしていきます。
働く人もベテランぞろい。
「企業努力を知らないと企業の求めているものは作れない」と松永さんは力説します。現場で知った生産者の「思い」まで包むオリジナルパッケージで、これからも生産者と消費者をつないでいきます。
住所 | 仙台市太白区東中田一丁目12-2 |
電話番号 | 022-241-1741 |
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