「なりたい自分」をイメージして、それを実現する。
薄井志歩子さん(34歳)
薄井さんは、リクルート東北支社で契約社員として3年半の任期を満了し、この秋から、東北発信で街の活性化を仕掛ける地元企業(仙台市青葉区)で働き始めます。「意志を持って働くこと」がとても大切だと考えるに至った経緯を聞きました。
自分の提案に自信が持てない
薄井さんは東北大学法学部出身。「困っている人を助けたい!」という想いから検察官を目指し、大学3年生から司法試験の勉強に打ち込みます。20歳から10年間、チャレンジを続けるものの、残念ながら合格することはできませんでした。
夢をあきらめ、31歳のときにリクルート東北支社の契約社員として、結婚情報誌「ゼクシィ」の営業職に就きます。しかし入社してまもなく、東日本大震災が発生。宮城、福島、山形3県のジュエリーショップを担当していましたが、震災後、結婚式どころではない状況下で、広告提案に自信が持てないまま、仕事をしていました。
頑張って仕事をする ≠ 意志を持って仕事をする
入社して2年目に社内体制が変わり、さらに広範囲に、かつ、多くの顧客を担当することになりました。これまでは、顧客が抱える課題だけを見て広告の提案をしていたのが、読者の求めていること、顧客の市場価値を高めるために出来ること、マーケットの課題など、市場全体を見て多角的に考える必要がありました。しかし時間は限られており、「とにかく毎日、がむしゃらに頑張るしかなかった」と言います。頑張っていくうちに自分の視野が広がっていく感覚を得ます。広告提案にも自信を持ち、結果を残せるようになりました。
そんなとき、上司に「おまえの仕事は他人事のようだ。意志を持って仕事をしていない」と言われ、大きなショックを受けます。「悔しくて、悔しくて…」。何をやっても涙があふれました。「意志を持つ」とは何なのかが分からない。こんなに頑張っているのになぜ?とマネージャーの言葉が理解できるまで、心の中で繰り返しました。
自分はどうしたいのか?
言葉の意味を考え続け、3ヶ月が経ったあるとき。社内や仕事で起こる変化に「1人で背負うことと、意志を持って働くこととは違う」と、それまでは受身だったことに気がつきます。自分の中で沸き起こる不満や疑問、意見を持っていても口にせず、とにかく言われたことをこなしていたことに気付きました。「意志を持って働く」には、野心を持って働け!ちっちゃくまとまるな!というメッセージも込められていました。
その後、薄井さんは「自分はどうしたいのか」をまず考え、行動に移せるようになりました。「いまでは後輩に『意志を持って仕事しているのか?』と問いかける自分がいるんです」と笑って話します。
「不安はありません。これから始まる新しいステージにワクワクしています!」
【シゴト道具】
手帳
リクルート入社以来、愛用している、いわば“戦友”。「3年半やりきるぞ!」という想いを持って価格も高めのお気に入りの品を選んだ。スケジュールのほかに大切な事柄をびっしりと書き込んでいる。
メイク道具
良いもの、気に入ったものを使うことで、大人の女性としてメイクでモチベーションを上げることもある。
アクセサリー
「ゼクシィ」のジュエリーショップ担当として、「きちんとしたアクセサリー」を身につけるようになった。大事な商談の日は、お気に入りの“勝負ネックレス”を着けて、気を引き締めて臨む。
将来の自分をイメージしてみて!
仕事は生きていくためのもの、食べていくためのものと考えがちですが、私は「なりたい自分」を実現していく場だと思っています。ぜひ学生時代に、どんな人になりたいのか、そのために「仕事」という場を使ってどう変わっていくかを考える時間を持って欲しいです。