学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
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ハイテク化で東北の福祉拠点へ!「佐々木義肢製作所」

後藤武尊 後藤武尊
6,074 views 2014.05.30
後藤武尊 後藤武尊 東北大学3年(執筆当時)
ポカポカを通り越して汗ばむ日が多くなってきました。陽射しを受けて放たれる新緑の輝きは、仙台が「杜の都」であることを実感させます。そんな風景を楽しみつつ、のんびりと自宅周辺を散策することが、この時期の私の楽しみです。散策中には、通学時には気づけなかった面白いものを見つけることもしばしば。木町通に面した「佐々木義肢製作所」の社屋もその1つです。

佐々木義肢製作所って、こんな会社!

佐々木義肢製作所は昭和12年創業の義肢装具メーカーです。仙台本社以外に、秋田と弘前(青森)にも支社を構え、合わせて56人の社員が東北6県にわたって活動しています。
社屋はとてもオシャレな建物。渡辺〇史さんが探訪していそうです。

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ロの字型の内壁は全面ガラス張りになっています。太陽光に照らされる社屋は清潔感にあふれています。

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この社屋、なんと2005年にグッドデザイン賞を受賞しています。その名に違わぬグッドなデザインです!

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「義肢装具士」という仕事

佐々木義肢製作所は創業77年(昭和12年開業)の義肢装具メーカーです。仙台本社以外に、秋田と弘前(青森)にも支社を構え、合わせて56人の社員が東北6県にわたって活動しています。業務内容は、事故などで失った四肢を補うための義手・義足から、車椅子、コルセット、インソール(靴の中敷き)まで様々な製品の製作や修理、販売です。

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なかでも、義肢装具の製作には「義肢装具士」という国家資格が必要です。
「患部に直に触れる作業ですので、大変な責任が伴います」
社員で義肢装具士の宮内博之さん(37)は自らの仕事について、こう話します。

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義肢は、四肢を失った患者さんの文字通り「手足」として活用されます。
宮内さんは、患者さんが義肢装具を毎日身体の一部として密着させて使用することから、義肢を「究極のデバイス(装置)」と形容します。患者さんが快適に生活するため、医師の判断に基づいて、機能面でも見た目でも高品質な義肢の製作に取り組んでいます。

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手の甲の血管まで丁寧に作り込まれています。

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義肢装具士にしかできないこと

作業中の義肢装具士さんにお話を聞いてみました!

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寺戸綾子さん(29)は入社5年目の義肢装具士。実は寺戸さん、大学で看護師資格を取得した後に義肢装具士の専門学校に通い直した経歴の持ち主です。

寺戸さん「高校生のときに義肢装具の専門学校を受験したのですが、不合格だったので看護大学に進みました。でも諦めきれずに大学を卒業後、再受験しました」

義肢装具士養成所は全国に11校しかありません(ちなみに東北にはありません)。
しかも国立は1校だけ!!!
入試の倍率は毎年10倍を超え、かなりの難関です。

後藤「そこまで義肢装具士にこだわったのはどうしてなんですか?」

寺戸さん「もともと医療系の仕事に興味があったんです。それにモノ作りをしたいと思っていたので、義肢装具士を選びました」

苦労して就いた義肢装具士の仕事で、寺戸さんが「辛い」と思ったことはないそう!

後藤「本当に、ないんですか?」(しつこい性格が玉にきず)

寺戸さん「はい、ありません(キッパリ)」

むしろ、義肢装具士は、仕事にやりがいを感じる瞬間ばかりだと寺戸さんは言います。
自分が作った義肢が、患者さんの生活を24時間支える。
「重い責任感が伴いますが、その分この仕事への誇りも大きいです」と寺戸さんは胸を張って話します。患者さんから感謝されたときが、この仕事をやっていてよかったと感じる瞬間だそう。
「患者さんからの『ありがとう』が仕事の励みになります」。患者さんの喜ぶ顔を見るため、日夜職人として腕に磨きをかけています。

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「全体の和と福祉の向上」の実現

佐々木義肢製作所は「全体の和と福祉の向上」という基本理念を掲げています。
「全体の和」とは、自社社員だけでなく、同業者や病院のスタッフなども巻き込んだ地域のネットワークを意味します。まずは東北の地に根差した企業として地域に何か恩返しができないのか、という佐々木社長の発案が基になっています。リハビリスタッフをはじめとした医療スタッフなど通常業務で協力する人たちと勉強会やセミナーを通して積極的に交流することで、信頼関係を築き、情報を共有して、質の高い医療や福祉のサービスを広く地域の皆様に提供したい、と考えているそうです。
そんな思いを形にしたのが、定期的に主催している「地域連携セミナー」です。

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東北の医療関係者の交流と義肢装具に関する最新の研究を報告することによる医療の質の向上が目的です。セミナーには、宮城県を中心に東北6県の他社の義肢装具士や理学療法士、リハビリドクターなど100人近くが参加します。

宮内さんは、この取り組みの意義についてこう話します。

「関連業者・同業者が皆で協力することが、東北の医療や福祉の質の向上につながると思っています。東北各地から職人が集うこのセミナーは、その重要な機会です」

最新技術「P&O(義肢装具) CAD/CAMシステム」に迫る

後藤「具体的にどういうシステムなんですか?」

小橋さん「義肢・装具をPC上で設計し、作り上げることが出来るシステムなんです。これを導入している会社は日本国内では3社、東北ではうちだけなんですよ!」 

なんと!東北唯一の最新鋭システムですって!? これは見るしかありません! 
ということで、CAD/CAMによる製作工程を見学させていただきました。

まずは、モデル(患部の型)に赤外線を照射して、型を読み取っていきます。

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読み取った型のデータに、パソコン上で修正を加えていきます。

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データに基づいてCAMにより自動切削して完成!

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「あっ」という間でした。
また、患部の型がなくても、患者の身体の寸法と画像データがあれば、同様に作れるそうです。

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これによって、各支社から寸法と写真をメール添付で送ってもらえば、本社で義肢装具を製作することが可能になりました。各支社の作業負担の軽減と製作時間の短縮を実現しました。患者の患部の型に石膏を流し込むという従前の製作方法と比較すると、作業時間が3分の1ほどにまで短縮され、作業効率が大幅に上昇。早期の治療や退院、リハビリに貢献しています。

ほかにも製品の質の安定化や修正の簡単さなど、「手作業と比べたときのメリットはとても大きいです」と小橋さんは話します。

東北の「セントラル・ハブ」へ

佐々木義肢製作所ではCAD/CAMシステムの活躍の場をさらに広げていきたいと考えています。今年の4月には、社内に「整形靴・CAD課」が新設され、一層CAD/CAM事業に力を入れています。

小橋さんは将来を見据えてこう語ります。
「まだまだこれからですが、将来的には、東北の義肢製作のセントラル・ハブの役割を担っていきたいです!」

セントラル・ハブとは、活動の中心・拠点を意味します。東北に1つしかないCAD/CAMの強みを活かして、東北の義肢製作の中心的役割を果たしていこうと考えています。具体的には、現在は仙台本社と支社の中だけで使用されているCAD/CAMによる義肢装具の製作を、東北地区のほかの義肢製作所からも受注する仕組みを構築していく計画です。

すべては、業界全体で東北の福祉の質を向上させたいという思いから。

障害者に安心と安全を届けるために義肢装具と向き合う社員の方々の真摯な姿が、窓から射し込む日光に照らされ輝いて見えました。

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たまたま近所を散歩して、たまたま目にとまった建物に興味を持って取材してみたら、東北の医療と福祉の中心を担う会社だったとは…。改めて出会いとは必然だな、と感じました。驚きと感動でいっぱいの取材でした。
義肢装具を製作する皆さんの姿からは、「人のために働くことの尊さ」や「時代に対応して進化していくことの大事さ」を学ばせていただきました。
自分もこんな社会人になりたい…と改めて感じました。
快く取材に応じていただいた佐々木義肢製作所の皆さん、本当にありがとうございました!

後藤武尊後藤武尊東北大学3年(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
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株式会社佐々木義肢製作所
http://sasaki-gishi.co.jp
住所仙台市青葉区木町通二丁目3-3
電話番号022-274-1181

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後藤武尊
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