記者(個人)

技能継承を未来へ

鴫原真絵 鴫原真絵
115 views 2014.02.27

「100年後まで見据え、仙台箪笥(たんす)の技能を残していきたいんです」。熱心に語るのは、創業141年の老舗、門間箪笥店(若林区南鍛冶町)専務、門間一泰さん(37)。

店内には、深みのある漆塗りが鏡の様に反射し、煌びやかな金具の装飾が異国感を漂わせる仙台箪笥が立ち並んでいる。

ものごころついた頃から箪笥が近くにあった。リクルートに10年間勤め、退社後は家業を継ぎ、大学時代から培ってきたマーケティングの知識を活かす。

▲「monmaya+」の箪笥を横に、技能継承に対しての考えを語る門間一泰さん=8月27日、門間箪笥店

箪笥の形にこだわらない。技能を継承するために、現在「monmaya+」という新たな取り組みもしている。デザイナーと共同してローテーブルなどを創り出し、技能継承の為に、時代に合った物づくりを展開している。
「おもしろいコンテンツだから、こんなチャンスはないと思いました」と門間さん。

今後は箪笥以外の販売で、顧客の裾野を広げる予定だ。  
主なターゲット層は、30代から40代で経済的に余裕があり、ファッション感度の高い人である。売り上げが上昇する見込みもある。 

技能を残していくためには、造り手と売り手がお互いに役割を意識していくことが大事である。

お互いが肩肘を張ることのないようにと、門間さんは若手の職人と月1回のペースで親睦を深める。未来を担う、若手の育成に力を注ぐ。「技能を残したい」という門間さんの考えを職人さんも共有している。

東日本大震災の後、箪笥の修理依頼件数は20件から2倍になった。
100年後も箪笥を直したいと言ってくれる人に、技能を提供できないのは無責任。思い出のある箪笥を、何とか助けたい人々の声に応えたい。この考えが、より強くなったのが震災後のことである。
「直したいと言ってくれる人が門間箪笥にとっての価値です」と強く語る。

今後は東京や海外にも活動範囲を広げていく予定もある。仙台箪笥を造る技能が長く継承されることが門間さんの望みだ。

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