就活の強い味方!親子カメラマンが営む「中映写真スタジオ」
中映写真スタジオ、こんなお店です!
仙台市青葉区一番町にある「中映写真スタジオ」は昭和22年創業。証明写真を中心に、各種申請用写真、子役のオーディション用写真、家族写真など、幅広い種類の撮影を行う、仙台でも長い歴史を持つ写真館です。2つのスタジオを構え、父と息子の親子2代で経営しています。サンモール一番町商店街にあるサンモールスタジオではお父さんの中野湛山さん(68)が、一番町一丁目にある一丁目スタジオでは息子の溪山さん(38)がそれぞれカメラマンを務めています。
溪山さんの流儀
取材をお願いする際に「仕事の様子も撮影したい」と伝えると、「じゃあ、実際に証明写真の撮影を体験してみる?」と溪山さんからうれしい提案!マスコミ用の全身写真を体験させてもらうことになりました。
取材当日は、初めての取材ということと本格的なスタジオでの撮影で、少し緊張していた私。すると溪山さんに「さっきよりも顔、こわばってない?」と友達のように話しかけられ、思わず笑ってしまいました!
お客さんをリラックスさせるために、その人の特徴を見つけて話題にするのが自然に話せる秘訣なんだそう。さすがは、人を注視するカメラマン!前から知っていたような親しみを感じながら、安心して取材に取り組むことができました。
溪山さんは20代のころ、家業を継ぐための修業としてほかの写真館に就職しました。しかし「もっと新しいことを学びたい」と東京で活躍するプロカメラマンのもとで4年間、アシスタントを務めました。失敗もたくさんしたそうです。
「緊張感のあるプロの現場で働き、失敗を経験したことで成長できた」と誇らしげに言います。
以前は知り合いの居酒屋に飲みに行くときに自分で撮った写真を持っていき、仲間たちに感想を聞いたこともあったそうです。また、講演会の撮影では講師が話している内容にも耳を傾けます。「いろいろな人と出会って、話を聞いて学ぶ。これが、いい写真を撮ることにつながるんだよ」。
湛山さんの流儀
次にサンモールスタジオで湛山さんにフィルム時代の話を伺いました。
現在はデジタル撮影が主流ですが、20年ほど前はモノクロフィルムによる撮影でした。現像、焼き付け、修整などすべて手作業で行っていたので、写真が出来上がるまでに3日間かかっていたそうです。 特に修整は、肉眼では分かりにくいミリ単位の作業が果てしなく続きます。修整の腕の良し悪しで、写真の仕上がりは大きく変わります。
湛山さんは、正確に、しかも早く修整することが自慢でした。お客さんの顔を見て、どのように修整すればいいのか頭で考えながら、撮影していたそうです。
「修整は誰にも負けなかった」と自負します。
店内を見渡すと、多くの写真が飾ってあり、その中でひと際きれいな写真が目に留まりました。2人の女性が前と後ろを向いて座っているのですが、実は写真を加工していて、どちらも同じ女性だそうです。この技術の高さに驚きましたが、何より写真の美しさに見とれてしまいました。普段目にする写真ではあまり感じたことがない、白黒独特の上品さがあり、女性の美しさを引き立てているようでした。湛山さんの確かな腕が店中から伝わってきました。
「合格しました」の声が続々!
就職活動やオーディション用に証明写真を撮ったお客さんから「合格しました!」という、うれしい声がたくさん届くそうです。証明写真の撮影にかかる時間は10~15分程度。実は、この短い時間にいろいろな技術を使っているのです。
修整前と修整後の違い、分かりますか?
まず、撮影するときにはその人のスタイルに合うようにスーツを直します。私の場合はスカートの裾をピンで留めてタイトにしました。そうすることで「脚を長く見せる」効果があるそうです。確かに!
服装のアドバイスや撮影の仕方は、志望する職業によって変わります。女性の場合、知的に見せたいときはスカートではなくパンツスーツで賢い雰囲気を作ります。事務系ならブラウスやYシャツの首元のボタンを上まで留めて真面目な印象に。人前に出るキャビンアテンダントのような仕事は上着の上に襟が出るタイプのブラウスを着ることで華やかさを演出します。
撮影が終わるとパソコンで修整します。私の場合は、顔の輪郭と目の大きさを調整し、スカートの皺を消してもらいました。その人の魅力を引き出すための「メイク」のようなもので、もちろん過度な修整はしていません。
写真は2、3日で出来上がります。当日は簡単な打ち合わせ、ヘアセット、撮影、写真選びという流れになっています。プロの目で服装や表情などを細かくチェックして仕上げてくれます。予約優先で、大学生なら就活応援価格で8枚2800円。
「写真は、お客さんと一緒に作り上げたい」と溪山さん。「とにかく書類審査が通るような写真を撮ることを心がけています」。そのために、お客さんの希望をしっかりと聞いて、それに沿った証明写真を撮影することに最も気をつけているそうです。
「自分に自信が持てる」証明写真
湛山さんと溪山さんは、それぞれに写真の撮り方、お客さんへの思い、行動一つ一つに自分のやり方があって、仕事に誇りを持っています。いい写真を撮るための努力を惜しまない、カメラマンのプロ意識を直に感じることができました。何よりとっても面白くて、取材ということを忘れてしまうほど楽しかったです。そんな温かい人柄がお客さんのいい表情を引き出し、和やかな雰囲気で撮影できる技術の一つではないかと思います。
その人の魅力を引き出してくれる「中映写真スタジオ」の証明写真が自分の自信へとつながり、それが就職活動やオーディションの合格へとつながっているのだと感じました。
住所 | 仙台市青葉区一番町2-3-28 |
電話番号 | 022-221-3705 |
住所 | 仙台市青葉区一番町1-6-8 |
電話番号 | 022-222-3935 |
平日 | 9:00~19:00 |
土曜 | 11:00~18:00 |
日祝 | 12:00~17:00 |
定休日 | 不定休(月1~2回) |
撮影協力
- 東北学院大3年(執筆当時)